ジェズスに足りなかった動き
イレギュラーなイレブンだったことで、前半ではしばしば左右両サイドで攻撃の停滞が発生した。
通常であれば、右サイドでチャンスメイクを行い、左サイドでゴールを仕留める、という形がアルテタ・アーセナルの十八番である。しかし、サウサンプトンとの一戦では、いつもの流動的な攻撃が再現できないため、押し込むことはできても手詰まり感が見えた。
最も分かりやすい例が右SBパーティの動きだ。同選手はサカに対して適切なタイミングでオーバーラップやインナーラップでサポートすることができず、背番号7の突破力頼みという状況が生まれた。
パーティは本職SBの選手ではなく、彼を責めるのは酷である。むしろ、後ろに残ってミドルを狙った方が脅威になるだろう。筆者はジェズスがサカのサポートに回るべきだったと考えている。
ブラジル人FWは左に流れた位置取りをしていることも少なくなく、しばしばスターリングとポジションが重なっていた。であれば、ハヴァーツが中央に残り、ジェズスが右に流れた方がゴール前の迫力は増すはずだ。
ジェズスがサカの前方、すなわち右のポケットに走り込み、パーティがボックス外からミドルを狙える位置取りをする。サカを自由にするためには、右サイドにジェズスの献身的なサポートが必要だった。