課題は「戦術的な舵取りを誰がするのか」
「戦術的なというか、チームとしての柔軟性がちょっと足りないかなと。同じ形に意固地になってる。難しいんですけど積み上げるところと、でも実際見て違うなと思ったら、ある程度、変化をして相手の嫌なプレーを選択するとか。
試合状況とか相手に即したプレー選択がもう少しあると、前半の途中でもっと変えていけると思うし、いろんな幅を出せるといいかなと思ってます」
手堅く来るセレッソに対して、アバウトに蹴ることなくビルドアップし、中盤に起点を作るのはいいが、相手の空いているところを見て1つ飛ばすパスを入れていくとか、ゴールにつながる崩しに持っていくためのダイナミックさを欠いていたのは確かだ。
特にセレッソは5バックといっても、攻守が切り替わった瞬間やプレスの直後には左右ウイングバックの背後にスペースができていることがある。そこを出す側もそうだが、サイドの選手が引き出すような走りもほとんど見られなかった。
「ウイングバックが、結構長い距離をスプリントしてくるシチュエーションが何回もあったと思うんですけど、そこが1回もできてないので。そこを逆手に取るみたいなのをできたらというのは観ていて思いました」
小泉はスコルジャ監督のマネージメントについて「マチェイさんは比較的、現場の選手の考えとか、対応みたいなことを尊重してくれるので。もう少し自分たちが、こうやればうまくいくんじゃないかというのを出していい気もします」と語る。
チームの戦術を大きく外れない範囲での話ではあるが、監督に指示されたことを愚直にやるだけではなく、ピッチの個人やユニットで状況判断しながら、チームに共有させていくガイドラインが構築できていない。
小泉は一通り見解を語った上で、改めて「外から見えているものと中の景色は違う」と強調した。言い換えれば、願わくばスタートから出て、自分が何を変えていけるかのイメージをピッチで確かめたいという思いが伝わってくる。
そして小泉は「外から言うのは簡単なので、自分が中にいるときに、もし出た時にそういうことができるかが大事になってくる」と続け、「戦術的な舵取りを誰がするのか」という課題を指摘した。そこの”舵取り”を担えるポテンシャルを持つ男はそのチャンスを得るべく、練習でのアピールを続ける。
(取材・文:河治良幸)