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Jリーグ 2か月前

「あんなに勝てなかった経験は…」セレッソ大阪、田中駿汰がいま思うこと。“中盤で勝負”の理想は崩れ「何がダメ…」【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

「中盤で勝負」も今はCB。「思うところは…」

セレッソ大阪DF田中駿汰
【写真:Getty Images】

 そして最終的には3バックの一角へ。それは2020〜2024年の4シーズン過ごした北海道コンサドーレ札幌で慣れ親しんだ形。進藤とも古巣で1年共闘していて、連係を合わせるのにそう時間はかからなかっただろう。

「今は3枚のセンターで勝てている。しっかりと自分が求められた場所で力を発揮できているのはいいことですね」と本人も言う。

 とはいえ、彼自身の中には「セレッソでは札幌でやっていた3バックではなく、中盤で勝負したい」という思いが少なからずあったのではないか。かつて日本代表の森保一監督も称賛した非凡なパスセンスと高度な展開力をより前面に押し出すなら、前目のポジションの方がいいからだ。

 小菊監督もそう考えたから、田中をアンカーに据え、「なにわのブスケツ」として育てていこうと試みたのだろう。その目論見はチームの苦境とともに崩れ、結局は現在の役割に辿り着いている。側から見ると残念ではあるが、田中は決してネガティブには捉えていないようだ。

「アンカーから3バックになって? 思うところは全然ないですね。監督に求められるところで結果を出すという仕事は変わらないので。それにどのポジションでも高いレベルのプレーができるのが自分のよさ。それでチームが勝てるなら問題ないし、勝つことで自分の価値を証明できますから」と本人はどこまでも前向きだ。

 今の彼が目指すところは「究極の守備のユーティリティ」なのかもしれない。その柔軟性や万能性でセレッソのプラスになれば理想的。今季は残り5試合だが、クリーンシートを続けていれば、自ずと勝ち点は上積みできる。紆余曲折を経て、一皮むけた27歳の男は終盤戦でさらなる進化を見せるべきなのだ。

「やっぱり苦しい時こそ、自分がもっと率先して声を出したり、チームを支えたいなっていう思いが強くなりました。今は調子いいですけど、負けたりすることもある。そこでリバウンドメンタリティを持つことも大事。しっかりやりたいなと思います」

 移籍1年目のラストを気持ちよく終え、来季につなげるためにも、背番号10には高値安定のパフォーマンスを強く期待したいものだ。

(取材・文:元川悦子)

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