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Jリーグ 2か月前

「あんなに勝てなかった経験は…」セレッソ大阪、田中駿汰がいま思うこと。“中盤で勝負”の理想は崩れ「何がダメ…」【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

「負けていた時はチーム全体としてどこか緩かった」

 前半は内容的にもセレッソが圧倒し、1−0で折り返した後半。浦和は原口をボランチに下げ、渡邊凌磨を左MF、松尾佑介をトップ下に配置変更。そこから機動力と推進力が出てきて、チャンスの数も増加。セレッソは守勢に回る時間が非常に多くなった。

 それでも最近3試合で1失点という堅守は健在。田中、進藤、西尾隆矢の3バックとGKキム・ジンヒョンを中心とした安定感は揺るがない。浦和にチャンスを作られながらも耐え、虎の子の1点を守り切って勝利。順位も8位と1つ上げることができた。

 フル稼働した田中も納得の表情を浮かべたが、新天地1年目のここまでの歩みは想像以上に厳しいものがあった。冒頭の通り、今季のセレッソは当初、4−3−3にトライ。アンカーの大役を任された彼は「なにわのブスケツ」と称され、攻守両面を司っていた。

「もっと自分のところからどんどん前につけて、そこからゴールというのが今、求めている形。もしくは、相手の背後に一発でゴールに直結するようなパスも有効だと思う。そういうのをより増やしていきたい」と序盤の彼は攻撃のお膳立てにフォーカスしている印象が強かった。

 その言葉通り、田中のパス回しから数々のチャンスが生まれ、セレッソも快進撃を見せたが、壁にぶつかった5月からは2ボランチへ。奥埜博亮と中盤の底で並ぶことになった彼は守備意識を高めながら、チーム状態を前向きにしようともがいていたという。

「あんなに勝てなかった経験はなかなかない。『何がダメなんだろう』とすごく悩みました。『自分からもっとボールに絡んでリズムを作らないといけない』『守備のところで絶対に負けちゃいけない』といろんなことを考えましたけど、今、考えると、負けていた時はチーム全体としてどこか緩かった。球際も戦っているつもりでも足りなかったと思う。自分たちが成長するために必要な時間だったのかなと思います」と田中自身も神妙な面持ちで振り返る。

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