スタジアム建設が大幅に遅れている原因とは
歴史建造物を重んじ、最も多くの世界遺産を擁するイタリアでは、スタジアム建設は容易ではない。官僚主義と規制の多さがネックとなる。
イタリアでは、建設プロジェクトには非常に厳しい規制や長い許認可のプロセスがある。土地の使用許可、環境保護、歴史的建造物の保護など、さまざまな手続きを経る必要があり、このためプロジェクトが大幅に遅れるのだ。
特に歴史的都市では、古代遺跡や歴史的建造物が多いため、考古学的調査や保護活動も含まれることがある。そのため、既存のスタジアムをスクラップ&ビルドするのではなく、改修してリスタイリングするモデルが多く採用されている。これが、ウディネーゼのスタディオ・フリウーリであり、アタランタのゲヴィス・スタジアムである。
双方のスタジアムはトラックが排除され、近代的サッカー専用スタジアムに生まれ変わっている。改修費用は、前者が5000万ユーロ(約80億円)、後者が1億ユーロ(約160億円)。日本の新国立競技場の総工費が約1569億円であることから、いかにコストをかけずにスタジアムを蘇らせているかが伺える。
フィオレンティーナの本拠地アルテミオ・フランキも現在は改修に入っているが、フィオレンティーナは改修費用を巡ってフィレンツェ市と対立。クラブに改修費用を負担する意志はなく、改修を停止するよう市に警告し、裁判所に工事の阻止を訴える騒動にまで発展したが、訴えは棄却されている。