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インテルとミランの“新しい家”はいつできる?「サン・シーロを壊すことはできない」建設プロジェクトが進まない理由【コラム】

シリーズ:コラム text by 佐藤徳和 photo by Getty Images

スペシャリストを招聘「このプロジェクトに人生を捧げる」

 前述した“セコンド・アネッロ”が文化財保護局によって保護されることとなり、ロンバルディーア州の文化財委員会によって、サン・シーロは解体ができないことが承認されたのだ。

 そのため、ミランは9月、ミラノ市南東のサン・ドナート市に7万のキャパシティーを持つ自前のスタジアムを建設すると発表している。

 アメリカのコロラドから、スタジアム建設のスペシャリスト、ティム・ロマーニをアドバイザーに招聘している。57のスタジアム建設に関わったロマーニは「私はCAA ICONを辞職し、ミラノに移住した。このプロジェクトに人生を捧げるためだ。これが最後のスタジアム建設となる」とミランの新スタジアム建設への思いを打ち明けていた。

 高速道路が走り、地下鉄の駅もあり、アクセスは良い。そして緑に囲まれた理想的な場所だ。ところが、隣接するキアラヴァッレ地区がスタジアム建設に反対。この地区を含むミラノ市第5区のニコーラ・カラペッレーゼ区長はこう説明する。

「キアラヴァッレ地区は10年前にユネスコの世界遺産の登録申請を行った。ミランのスタジアム建設計画が推進される前のことだ。2つのプロジェクトが対比しているのは明らかなことだ」

 キアラヴァッレには、1221年に創建されたレンガ造りの美しい修道院がある。世界遺産にふさわしい歴史的建造物だ。サン・ドナート市には大きな自然公園も南北に広がることから、環境に配慮し、この地区から建設に抗議する声が立ち上がる可能性もあるだろう。

 インテルも、サン・ドナートから約15キロしか離れていないミラノ市南のロッツァーノ市に、こちらも7万人の収容能力を持つ自前のスタジアムを建設すると発表。デザインもすでに発表されており、トッテナム・ホットスパー・スタジアムを想起させるものだ。

 すでに周辺地域のリサーチのために多くの金額を費やし、現在も土地を所有するInfrafin社と交渉を進めている。サン・シーロ・スタジアム近隣の新スタジアム建設案と平行して、ロッツァーノ市に新スタジアム建設を模索しているところだ。

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