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Jリーグ 2か月前

「ボール保持」に手を出した湘南ベルマーレの行く末。新たな設計図を手に、「らしさ」から脱却した先の世界【戦術分析コラム】

シリーズ:戦術分析コラム text by らいかーると photo by Getty Images

イングランドで起きた“ある革命”に重なる

 ボールを保持するサッカーをポゼッションサッカーと大雑把に当てはめてみると、いつの日からか、ポゼッションサッカーは相対的な強者のみの選択肢ではなくなってしまっている。

 個人的にそう思うきっかけとなっているのは、2015年くらいにプレミアリーグである意味で革命を起こしたスウォンジーだろうか。当時のマンチェスター・シティやアーセナルを相手にしても、ボール保持で試合の主導権を握り続けることで勝敗を迫っていくスウォンジーの様子は世界中に驚きをもたらしたに違いない。

 当時のスウォンジーと仕組みなどは全く異なるが、予算的な意味で強者でない湘南ベルマーレがボール保持に光明を見出した点は、かつてのスウォンジーの革命と重なって見える部分がある。

 酷暑の日本でハードワークを常に実行することは至難の業だったからかもしれない。多少は試合のテンポを落とし、休憩する時間だって必要になる。そのためには自分たちのもとにボールが必要になる。縦に仕掛けている場合ではないのだ。

 湘南ベルマーレのボール保持の配置は[3-1-5-1]。ビルドアップ隊は基本的に[3-1+GK]で形成されている。ゴールキーパーには今夏の移籍で獲得した上福元直人が優先的に起用されている。

 ソン・ボムグンよりも上福元を起用する理由はビルドアップでの貢献を期待されているからではないだろうか。3バックの湘南ベルマーレだが、中央のキム・ミンテがアンカーの位置に上がったり、両脇のセンターバック(CB)がウイングバック(WB)とワンツーで上がったりと多彩な動きをすることもある。そのため、ゴールキーパーにもときにはセンターバックのような振る舞いを求めることがあり、上福元に白羽の矢が立ったのではないだろうか。

 Jリーグでも流行になりつつあるゴールキーパーを使ったビルドアップで相手のプレッシングを牽制し、ビルドアップ隊をオープンにすることに成功すると、攻撃の起点となる選手は3バックの両脇コンビだ。

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