日の丸への思い「必ずどこかで呼んでもらえると…」
「苦しい時期もありましたけど、その中で学ぶことも多かった」と三國。新天地の名古屋でもレギュラーが約束されたものではなかったが、長谷川健太監督の信頼を得ながらスタメンに定着し、現在は3バックの中央を任されている。
「真ん中をやってるので、いかに周りを把握して、自分がリーダーシップ持ってやれるかはチームのディフェンスが機能するかしないかに本当に関わってくる」
最近は1対1の強さだけでなく、周囲を助けるディフェンスリーダー的な振る舞いも目立ってきている。ここまでリーグ戦は30試合に起用されており、栃木時代も含めてキャリアハイとなった。三國は「試合に使ってもらって徐々に徐々に、(自分の良さが)プレーに出てきたかなと思います。試合に出ることで経験値がどんどん上がっていくので。まだまだ成長できると思いながら、一戦一戦やっていきたい」と語る。
24歳の三國は青森山田高校で2018年に全国制覇を成し遂げるなど、世代屈指のセンターバックとして期待されて、2019年にはU-20W杯で世界も経験した。
久保建英(レアル・ソシエダ)はコパ・アメリカでA代表に召集されて不参加だったが、当時のメンバーには菅原由勢(サウサンプトン)、伊藤洋輝(バイエルン)、中村敬斗(スタッド・ランス)といった現在の”森保ジャパン”で常連のメンバーもいた。そうした選手たちからは出遅れてしまったが、ポテンシャルの高さというものは決して負けていないだろう。
この試合、日本代表の森保一監督が視察に来ていた。そのことは知らなかった様子だが、改めて日の丸への思いを聞くと「チームへの貢献度だったり、チームの成績で自分がその試合で活躍しているかで呼ぶ呼ばないは決まってくると思います。まず1試合1試合、集中してやっていけば、必ずどこかで呼んでもらえると思っているので。集中力を切らさず、しっかり戦い抜けるように頑張りたい」と回答してくれた。
もちろん欧州組が主力を占める”森保ジャパン”に食い込んでいくことは簡単ではないが、ハイスケールなディフェンスに安定感とリーダーシップを帯びてきた三國の存在は、森保監督の目にも留まっているはず。まずはチームを勝たせる選手として、より存在感を高めていくこと。その先に日の丸や世界というものも見えてくるだろう。
(取材・文:河治良幸)