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【アーセナル分析コラム】あまりに美しかった45分。ウーデゴールが不在だからこそ生み出された、新たな形とは?

シリーズ:分析コラム text by 竹内快 photo by Getty Images

「アーセナルキラー」をどう止めた?


【写真:Getty Images】

 前述した通り、レスターは非保持時[4-4-2]の布陣を組もうとする。中盤のウィルフレッド・ディディが1列前のポジションに移動し、ジェームズ・ヴァーディと「2」の部分を構成する形だ。


 しかし、アーセナルの選手が流動的に侵入してきたことで発生した数的不利によって、ディディはサイドのカバーに回らざるを得なくなった。

 そうなると、レスター目線では、ポジティブトランジションの際にヴァーディしか選択肢が残されていない。前線で孤立したストライカーはウィリアム・サリバの格好の餌食となってしまった。

 どこまでがミケル・アルテタ監督の意図していたものであったかは分からないが、試合前半は全てが上手くいっていたといえるだろう。2ゴールを奪うだけでなく、相手のエースFWも完封。ヴァーディは「アーセナルキラー」とも言うべき危険人物(現時点でヴァーディが最も多くゴールを決めている相手がアーセナルだ)であり、彼を周囲から孤立させ、サリバと1対1でぶつけることは大きな効果を発揮していた。

 これでアーセナルはリーグ6試合で4勝2分の成績。マンチェスター・シティを筆頭に、トッテナム、アストン・ヴィラなど一癖も二癖もあるタフな対戦相手が続いたが、ウーデゴール離脱、ライス退場など大きすぎる代償を払いながらも柔軟に戦い方を変えて、無敗で乗り越えてみせた。

 また、後半中盤以降の苦しい時間帯にユースの新鋭が見せたプレーにも触れておきたい。

 85分にピッチに立ったイーサン・ヌワネリが、投入直後からドリブルで果敢な仕掛けを披露すると空気が一変。攻撃のギアがもう1段階上がり、アディショナルタイムに2つの勝ち越しゴールが生まれるきっかけになったと言って間違いないだろう。かつてエミール・スミス・ロウがどん底のチームを救ったように、苦しい時こそ、期待の若手が輝きを放ってくれるというのは心強い。

 昨夜の試合内容はすべて、かつてないほどチームの総合力が高まっている証拠である。

(文:竹内快)

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