もう一つのサプライズ
デ・ロッシの解任の理由は多くの現地メディアが報じているが、憶測でしかない。ロ・モナコ・ディレクターはどう見ているのだろうか。
「フリードキン・オーナーは、特にネガティブなデータを非難していた。少ない勝ち点、少ないゴール数、それ以外の詳細なデータといったものを。それから、これは確実なことだが、デ・ロッシはリナ・スルーク代表取締役(CEO)とは良い関係を築けていなかった。デ・ロッシを解任するという酷い選択を行ったその結果、スルークは不安に苛まれ、辞任を表明した」
サポーターから容赦ない口撃を受けたスルークCEOは、ウディネーゼ戦が開催された当日、辞任を表明。ユリッチ新監督も「テレビのニュースで知った」と語るほど、こちらもサプライズの辞任だった。
ギリシャ人で41歳のスルーク女史は、23年4月にローマのCEOに就任。財務を管理し、ロマニスタの夢である、自前の新スタジアム建設に向けて奔走していた。しかし、ロマニスタの魂、デ・ロッシを解任したことでサポーターの怒りを買い、辞任の憂き目にあった。
ミラン、ユベントス、インテルの監督を歴任し、元日本代表指揮官でもあるアルベルト・ザッケローニも、『Rai』のラジオ番組にゲスト出演した際に解任劇に触れた。
「監督としてのデ・ロッシをよく知るわけではないが、恐らく、彼の監督としての質に関係した選択ではなかったのではないか。チーム内で何かが起こり、恐らくはチーム作りにおいて、意見が合わなかったのだろう。デ・ロッシの解任にとても驚いているが、理由はあるに違いない。上層部は、解任すればファンから反感を買うとは十分にわかっていたはずだ」
ザッケローニの言うように、フリードキン・オーナーやスルークCEOは、ティフォージのデ・ロッシへの愛を理解していたはずだ。ただ、クルバ(ウルトラス)がウディネーゼ戦の開始30分、入場せずに応援をボイコットするほどの激昂を見せるとは、想像していなかったようだ。