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Jリーグ 2か月前

「ずっと狙い目だった」山根陸が明かした勝利のポイント。横浜F・マリノスの攻撃陣を司る「そこは塩梅というか…」【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

「選手として感じないといけない」

「半分くらいがチャントを歌わずに無言でいました。それが彼らからのメッセージだったというか、(意地と誇りを)見せてくれと言っていると思って。同時に見捨てたわけでもない、というエールも受け取りました」

「雨のなかでこれだけの数のファン・サポーターが来てくれたのもそうだし、試合の途中からはあれだけの声量で後押ししてくれた。選手として感じないといけないとチーム全員で共有する必要があったし、試合ではみんなの気持ちとか悔しさといったものを、しっかりとピッチのうえで表現できたと思っています」

 試合はマリノスの覚悟が問われる展開となった。先制してから7分後の23分。ペナルティーエリア外へ飛び出して山口のロングボールを処理しようとした38歳のベテラン、GK飯倉大樹がまさかの空振り。こぼれ球を奥山に拾われて、無人と化していたゴールに同点弾を流し込まれた。

 36分にはユーイェンとこぼれ球を競り合ったクルードが、スパイクの裏を見せながらタックルにいったとして、小屋幸栄主審から一発退場を命じられた。それでも絶対に下を向かなかったと山根が言う。

「10人になっても普通に戦える、というのはいままでの試合でも証明していると個人的には思っていましたし、みんなの気持ちも切れていなかったので大丈夫だと思っていました」

 ダブルボランチを組むクルードが不在となったピッチ上では、守備時にトップ下の西村拓真が下がって即席のダブルボランチを形成。攻撃時には縦関係に変化して、山根が西村を後方支援する形をとりながら対応していた41分。山口のDF沼田圭悟が2枚目のイエローカードをもらって退場になった。

 10人同士となった雨中の一戦が動いたのは、エンドが変わった51分だった。左タッチライン際での攻防。ユーイェンからDF板倉洸を介して、佐藤へ落とそうとしたパスがずれたこぼれ球に自陣の中央で真っ先に反応した山根が選択したのは、前方にいたFWアンデルソン・ロペスへのワンタッチパスだった。

「ボールを奪えばウチには素晴らしい前の選手がいるし、ウチに対してあれだけ前へくる、ということは相当にリスクを負っているので、そこはずっと狙い目だったし、ロペスだったので預けられました」

 こう振り返った山根へ、日々の練習で常に同じ要求を繰り返したとロペスは試合後に明かした。
 

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