「ここ数試合…」21歳に芽生えた責任感
「あれから長くかかりすぎちゃって、逆にやっとというか、遅かったな、という感じなんですけど」
思い浮かべたのは昨年4月8日。横浜FCとの横浜ダービーの開始6分に、ペナルティーエリアの外側から豪快な一撃を一閃。ホームの日産スタジアムの場内アナウンスでも、得点者として自身の名前が連呼された直後に、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の介入をへて無情にも取り消された。
オフサイドポジションにいたFW水沼宏太から、申し訳ないと頭を下げられた試合後に「謝らなくていいんですけど……」と苦笑しながら、山根が幻の初ゴールを振り返ってから536日。再び強烈な一撃で、正真正銘の初ゴールを決めた率直な思いを笑顔で振り返った21歳は、さらにこんな言葉を紡いだ。
「ここ数試合、本当に情けない試合をしてしまって、自分としても責任を感じる部分が多かったので。今日は本当に勝つしかなかったので、その意味ではひとつ結果が出てよかったと思っています」
マリノスは公式戦で4連敗を喫する苦境で、山口との準々決勝を迎えていた。特に直近の2戦では、光州(韓国)とのAFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)のリーグステージ初戦で3-7、サンフレッチェ広島とのJ1リーグ第31節では2-6と、2戦合計で屈辱的な13失点を献上していた。
試合前のウォーミングアップ。ベンチスタートだったキャプテンのMF喜田拓也が、ゴール裏に陣取るファン・サポーターがいつもとはまったく異なる行動を取っているのに気がついた。