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天皇杯準々決勝の横浜F・マリノス対レノファ山口FCがニッパツ三ツ沢球技場で行われ、5-1でマリノスが勝利した。直近の公式戦2試合はいずれも大量失点を喫していたマリノスだが、この試合では圧巻のゴールショー。プロ初ゴールを決めた山根陸は「後がないと思っていた」と強いプレッシャーを感じていた。(取材・文:藤江直人)
待望のプロ初ゴール
相手選手が飛び込んできても、迷わずに右足を振り抜いた。アディダス社製の白いスパイク越しに伝わってきた会心の感触とともに、横浜F・マリノスのMF山根陸にアニバーサリーが訪れた。
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ユースから昇格して3シーズン目。公式戦出場84試合目にして待望のプロ初ゴールが生まれたのは、ホームのニッパツ三ツ沢球技場にJ2のレノファ山口を迎えた天皇杯準々決勝の16分だった。
歓喜の瞬間に至るまで記憶も正確だった。試合後の取材エリア。山根が声を弾ませる。
「クロスがあがって、確かセカンドボールを拾って、ジャン(・クルード)に預けて、ジャンも相手を引きつけてから自分に落としてくれて。あとは時間があったので、右足を振り切るだけでした」
右サイドからFW井上健太があげたクロスを、山口のキャプテン、MF佐藤謙介が頭でクリアするも短くなる。ペナルティーエリア右角の後方でセカンドボールを回収した山根は、今夏にアラブ首長国連邦(UAE)のアル・ナスルから加入した、トーゴ代表のジャン・クルードへまず横パスを預けた。
身長187㎝体重73kgの巨体で存在感を放つボランチのクルードが、山口の佐藤とFW奥山洋平を引きつける。以心伝心というべきか。必然的にフリーとなっていた山根へクルードがリターン。右足で正確にトラップし、ボールが弾んでいる間に体を時計回りに反転させた次の瞬間、背番号28は右足を一閃した。
このとき、危機を察知したタイ代表MFサーラット・ユーイェンが、慌ててブロックに飛び込んできていた。しかし、山根が意図的にアウトサイドにかけた低く、なおかつ強烈な一撃はユーイェンの左側を通過。その後は山口ゴールから遠ざかる軌道を描きながら、ゴール右隅へ鮮やかに突き刺さった。
山口の韓国出身ゴールキーパー、チェ・ヒョンチャンが189cm80kgの巨躯を懸命に伸ばしてダイブするも届かない。雄叫びをあげながらガッツポーズを繰り返し、感情を解き放った山根が振り返る。