「いや、今日はどうでしたか？」

　初めてJリーグを指揮する中シーズン終盤を迎え、プレッシャーもかかっているのでないかと問うと、森山監督は毅然とした口調でこう答える。

「いや、今日はどうでしたか、と。誰かネガティブにプレッシャーがかかって、何か後ろ髪を引かれるようなプレーをしていましたかと。全然私はまったくそういうプレッシャーではなくて、選手はかなりやっていたと思います」

　監督の中に確固たる基準があり、その基準を超えたプレーが出ているという自信があるからこそ、きっぱりとこう言い切れるのだろう。

　リーグ戦はいよいよラスト6試合、そしてプレーオフ出場が決まればさらに最大2試合戦うことになる。プレーオフ圏内争いが激しさを増す中、9月に入ってからの3試合は2分け1敗と、やや苦しんでいるのは確かだ。先述の長澤の移籍や、有田やDF髙田椋汰の負傷などの影響もあり、毎試合必死のやりくりをしているが、どういう結果になるかは予断を許さない。

　それでも森山監督はここまでの緻密な積み上げ、適切な選手の見極め、そして確固たる基準を持って選手たちの指導に当たり、J2残り6試合、そしてその先のプレーオフ2試合で少しでも良い結果を導こうとしている。

　確固たる信念を持つ森山監督の下、終盤戦仙台の選手たちがどれだけ闘争心を持って、積み上げてきたサッカーを出せるか、期待を持って見守りたい。

（取材・文：小林健志）