国立決戦はJ2優勝を占う天王山
「次は国立競技場で頂上決戦が待っています。どちらがナンバーワンなのか、しっかりとしたものをお見せしなきゃいけないし、特にわれわれは三ツ沢で非常に悔しい思いをしている。残り6試合でまだ何も成し遂げていませんが、再び横浜FCと対戦する前にトップに立てた状況を非常にポジティブに感じている」
「J1へ昇格するのはマストとして、最後の最後はチャンピオンで終えるところにもわれわれはこだわっている。清水エスパルスを愛するすべての方々の想い、誇り、プライドを背負って全員で団結して戦いたい」
残り6試合で、すでに直接対決を終えている3位のV・ファーレン長崎との勝ち点差は11ポイント。J1へ自動昇格する2位以内を確定させる瞬間が刻一刻と近づいてくるなかで、14勝4分と18戦連続無敗を継続中の横浜FCとの直接対決はもうひとつの目標、J2優勝へ向けた文字通りの天王山となる。
以心伝心というべきか。藤枝戦のヒーローになった西澤も、すぐに視線を次節へ向けている。
「僕たちがここまで積み上げてきたものがあるからこそ、国立競技場での戦いが最高の舞台になる。確かに今日はうれしいですけど、もう一度、地に足をつけて来週のために準備していきたい」
次に涙腺を決壊させるとすれば、今シーズンの目標を成就させたときだろうか。水戸ホーリーホックの監督時代から、選手たちへ「喜怒哀楽を解き放ってほしい」と求めてきた秋葉監督の哲学は、清水を率いるいまもまったく変わらない。藤枝戦後の号泣に象徴されるように、自らが率先する形で感情を露にする姿が求心力を高め、チームにかかわるすべての人々の絆をさらに強めながら、清水が最大の決戦へ臨む。
(取材・文:藤江直人)