フットボールチャンネル

【プレミアリーグ分析コラム】異様な試合…。なぜアーセナルは逃げきれなかった? マンCの運命を変えた一手

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

マンチェスター・シティがドン引きのアーセナルに大苦戦した理由

 後半からアーセナルは自陣深くで[5-4-0]のブロックを形成したが、相手チームの選手の動きに合わせて、時には[6-3-0]で構えて守備を行っていた。彼らのリトリートの守備には昨シーズンから定評があり、直近のトッテナムとのノースロンドンダービーでも、ボール保持へのこだわりを捨てて、低いポゼッション率ながらも完封勝利を収めている。

 [5-4-0]のブロックには密度があるため、マンチェスター・シティに所属する選手たちの高い技術があっても中央の狭いスペースを打開するのは難しく、アーリング・ハーランドへのクロスに対してはウィリアン・サリバとガブリエウ・マガリャンイスが完璧な対応で防いだ。

 このような自陣に引いて守る相手に対しては、ラインを押し下げてからのマイナスのクロスが有効になるが、ロドリの負傷交代とケビン・デ・ブライネの欠場によってマンチェスター・シティには狭いシュートコースを打ち抜ける選手がいなかった。

 ミドルシュートが得意な選手がいなかった影響は試合の最後まで感じさせられた。ロドリの代わりに投入されたマテオ・コバチッチは左右にボールを振るというタスクこそこなせていたが、フィニッシャーとしての精度はイマイチで、放った4つのシュートは全て枠外に飛んだ。

 コバチッチのシュートが空回りした影響もあって、さらにその後ろからルベン・ディアスがシュートを放つシーンも多かったが、こちらも惜しいシュートを打つことができなかった。左サイドバック(SB)のヨシュコ・グバルディオルが持ち前の攻撃センスから強烈なシュートを放った場面では、アーセナルの守護神ダビド・ラヤがビッグセーブ。

 展開としてはマンチェスター・シティが圧倒的に優位かと思われたが、どの攻撃も決め手に欠き、得点の気配がないまま試合も終盤へと進んだ。

1 2 3 4

KANZENからのお知らせ

scroll top
error: Content is protected !!