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Jリーグ 2か月前

「選手として死ぬんかな…」木村勇大は東京ヴェルディで“人生を懸けた”。「やっと力を…」J1で急成長の理由【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

「危機感を持って今年、ヴェルディに来た」

「今は1トップなんで、自分が前で収めて何とかしないと前進できないですし、今日のような3バックの相手だったらマッチアップになるんで、俺が負けなかったらチームの流れも持っていける。

 収めるだけじゃなくて、強引にでもゴールを狙いに行くっていうのは自分の特徴ですし、日本にはそんなにいないようなタイプだと思うんで、そこはこだわってます」と本人も目を輝かせた。そのストロングが試合を重ねるごとにより研ぎ澄まされていると言っていい。

 木村はご存じの通り、大阪桐蔭高校、関西学院大学を経て、2023年に京都入りした大型FWだ。昨季は曺貴裁監督から開幕スタメンに抜擢され、一気に頭角を現すかと思われたが、第2節から出番がなくなり、夏にはJ2・ツエーゲン金沢へレンタルに出されることになった。1カテゴリー下の金沢へ行けばゴール量産も可能だろうと目されたが、まさかの無得点。崖っぷちに追い込まれたのだ。

「昨年は自分のやりたいポジションでもできなくて、なかなか難しい状況で、金沢へ行ってもうまくいかなかった。『これはまずいな。選手として死ぬんかな』と思いました。それくらいの危機感を持って今年、ヴェルディに来た。

 城福監督からは守備の部分とかをすごい言われますけど、タスクを求められる中で成長してると思いますし、それと同時に持ってる力をやっと出せてきたのかなと。試合に出ることで、今、自分がすごくいい方向に変わってきている。自分の努力もそうですけど、このチームに来て、試合に出れて、勝ててってすごいいい循環でプレーできてるのが大きいですね」

 百戦錬磨の厳しい指揮官の下で再生した木村はいち早く2ケタゴールをマーク。東京Vの快進撃の立役者になっている。

 シーズン前半はスタメンから外された時期もあったが、「その時期は自分の中に『慢心』があった。攻撃ばかりに目が行っていた」と自ら反省。京都時代の挫折も糧にして、地に足をつけて取り組んだ結果、その後の再浮上につながったという。

 結局、この日は77分間プレーして退き、直後に生まれた翁長聖の追加点をベンチで見守ることになったが、2−0の勝利に大きく貢献したのは間違いない。J1昇格後初の4連勝・6位キープの原動力の1人が23歳の若き点取屋だというのは紛れもない事実だろう。

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