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Jリーグ 2か月前

「選手として死ぬんかな…」木村勇大は東京ヴェルディで“人生を懸けた”。「やっと力を…」J1で急成長の理由【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

木村勇大の粘りが生んだゴール

 18分、相手のスローインを右ウイングバック(WB)宮原和也が中盤でカット。そのまま前線にいた背番号20にタテパスをつけた。木村は鳥栖のDF山崎浩介を背負いながら、一瞬で反転。ゴール前に持ち込もうとして倒され、好位置でFKを得ることに成功した。

「ボールをもらった時からパスを出すつもりはなかった。体を預けた瞬間、向こうの圧力が弱くなっていい形でターンできたんで、ゴールまで行けばよかったんですけど、あそこで倒されないようにならないといけない。それが自分の次の課題かなと思います」と木村はフィニッシュに持ち込めなかったことを悔しがっていた。

 それでも東京Vには同じく京都サンガF.C.からレンタルで加入中の名手・山田楓喜がいる。背番号18は落ち着いてボールをセットし、左足を一閃。ゴール右隅に蹴り込み、待望の1点目を奪うことに成功した。

「(距離が)近かったんでね、もう自分が思ったところにそんなに威力もないボールを蹴り込むだけでした。ファウルをもらった瞬間、『入ったな』と思いましたね」と山田が胸を張る姿を、木村は頼もしく感じていたはずだ。

 早い段階のリードを自信に、彼らは鋭いプレスからの効果的な攻めを次々と繰り出した。今季10ゴールをマークしている若きFWは前線で確実にボールを収めて起点を作り、チーム全体を円滑に動かしていく。

 前半はシュートこそなかったが、後半に入るとゴールへの凄みを増していく。綱島悠斗のタテパスに反応し、強引に持ち込んでシュートを放った53分と55分のビッグチャンスは「ザ・ストライカー」という印象を色濃く残した。

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