4位:アーセナル(イングランド)
【写真:Getty Images】
監督:ミケル・アルテタ(6年目)
戦力値:88(攻撃力22、守備力24、選手層22、勝負強さ20)
今シーズンのアーセナルはミケル・アルテタ監督が率いて史上、最も強いチームに仕上がっている。戦力だけみると、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)をはじめいくつかのタイトルを獲得してもおかしくない。
今のアーセナルの最大の武器は「守備力」だ。前線からアグレッシブにプレスを仕掛ける形とローブロックを敷いて守り切る形の両方が練度高く整備されており、状況によって守備の形を変えることができるのが強みだ。分かりやすいのが直近のトッテナム戦で、本来はポゼッション志向のアーセナルがこの試合はローブロックを敷き、支配率が36%に留まりながらも完封勝利を収めた。
それを可能としているのが、ウィリアン・サリバとガブリエウ・マガリャンイスの両センターバック(CB)と守護神ダビド・ラヤのクオリティの高さだ。彼らを前にクロスから得点を奪うのは困難で、判断と質のどちらも高いレベルにある。サイドバック(SB)にもベン・ホワイトやユリエン・ティンバー、リッカルド・カラフィオーリ、冨安健洋らCBでもプレーできる選手を配置できることから、「守備力」を重要視した際に穴ができにくい。
一方の「攻撃力」はカイ・ハフェルツの成長によって戦力値が上がった。アーリング・ハーランドやハリー・ケイン、キリアン・エムバペのような理不尽な決定力はないにせよ、周りの選手との連係や前線で起点となりつつ、自らもネットを揺らす機会と確率が上がっているのは好材料だ。
スモールスカッドとはいえ、「選手層」もCLとプレミアリーグの両大会を戦い抜くには十分なものがあるが、「勝負強さ」は「20」とやや低めの数値とした。これは現在のアーセナルが抱えている最大の課題であり、チームが着実に強くなっている中でタイトルを獲得できていないことがすべてを表している。
昨季のCLでも選手と監督のどちらも欧州大会での経験不足が露呈してバイエルン・ミュンヘンに敗れた。仮にCLのタイトルを目指すのであればマンチェスター・シティやレアル・マドリードら常連チームを上回る必要があり、アルテタ体制でCL挑戦2年目を迎える今シーズンこそ、精神面で成長している姿をみせることができるだろうか。