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【アーセナル分析コラム】なぜ危機的状況でトッテナムに勝てたのか。ウーデゴール、ライス不在で見せた“ごまかし”と工夫とは

シリーズ:分析コラム text by 竹内快 photo by Getty Images

ライス&ウーデゴール不在をどう補う?


【写真:Getty Images】

 アルテタ監督はこれまでの[4-1-2-3]からシステムを変更した。


 お馴染みのメンバーに加えてレアンドロ・トロサールがトップ下に入り、ジョルジーニョとトーマス・パーティが2ボランチを組む[4-2-1-3]だ。非保持はトロサールとカイ・ハフェルツが2トップを構成する[4-4-2]の布陣で守る。

 中盤の構成を変えた狙いは、ライスの抜けた穴を補うためだ。圧倒的な機動力で広大なエリアを1人で守り切ってしまうライスの代わりを務められる選手はなかなかいない。ライス不在のこの試合では、ジョルジーニョとパーティでそのエリアを分け合うことで守備の安定を図った格好だ。ジョルジーニョはあと一歩足が届かずボールを奪えないシーンや単純なスピードの差で後手を踏んでしまうシーンも見られたが、最後まで足を止めず、声を張り続けて中盤を守り切って見せた。これでライスの穴埋めは成功だ。

 しかし、そうなると攻撃の枚数は1つ少なくなる。ウーデゴール不在による対応は成功したとは言い難いだろう。チームの攻撃力を最大限引き出すことはできなかった。

 ブカヨ・サカ、ベン・ホワイトの右サイドはそれが顕著だった。彼ら2人だけでも十分な出力が担保されているが、この試合ではウーデゴール不在によってプレーの選択肢が限られていた印象だ。右サイドでホワイトが高い位置を取り、サカが内側のレーンを走る「いつもの形」ではバランスをとるウーデゴールがいないため、ディスティニー・ウドジェ、ジェームズ・マディソン、そしてソン・フンミンに囲まれて数的不利に陥り、しばしば手詰まりになってしまっていた。

 この問題を解決するために、レアンドロ・トロサールやハフェルツが右サイドに顔を出すことで”ごまかしていた”が、彼らは他にもタスクが多く、完全なウーデゴール役にはなれず。明確な「攻め筋」「勝ち筋」を見つけられない中で、輝きを放ったのがアーセナルのディフェンス陣だ。

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