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Jリーグ 2週間前

「僕がピッチに立って勝ったのって…」ジュビロ磐田、中村駿が噛み締めた「幸せ」。何もできなかった苦悩を経て【コラム】

シリーズ:コラム text by 河治良幸 photo by Getty Images

得意なプレーを出せた「自分の前にスペースがあったし…」

 中村によると誰かが飛び込んでくれると信じて、ディフェンスとGKの間に上げたようだが、移籍初ゴールとなった渡邉は「点取れる場所はもうあそこしかない。そこに上手く、ニアにタイミングよく走ることができたので。いいボールをくれた駿くんに感謝したい」と語った。

 中村が決めた2点目はレオ・ゴメスの展開を起点に、左でボールを運んだ松原のクロスが右ワイドの松本に通ると、中村がタイミングよく中央を飛び出す。俊足の小屋松知哉がプレスバックしてきたが、一瞬早くパスを受けた中村が渡邉に縦パスを付けて、右側から追い越してボールを受けると、左足でGK松本健太を破った。

 中村の動きについて渡邉は「駿くんは縦パスを差して前に来てくれる選手なので。そこで自分がボールを失わずに繋ぐことができれば、チャンスになるというのは練習からあった」と振り返る。

「駿くんがそのまま前に出てきてくれて。いいところに走ってくれたので。上手くいいところに落とせて、しっかり決めてくれたなと思います」

 そう渡邉が語るように、こうした形からフィニッシュに持ち込むのは本来、中村の得意なプレーだという。ただ、磐田では怪我での離脱期間が長引き、なかなかそれをピッチで出せていなかった。中村は「自分の前にスペースがあったし、ひとつ運んだところで(渡邉)りょうが見えて。預けたらもう1回返ってくるかなと。ちょっとごちゃごちゃってなったんですけど、自分のところに来て。あとはキーパーと1対1になったので、流し込むだけでした」と語る。

 ただ、同じような状況で、このシーン以外にも「あそこにこぼれてきたシーンはあった」と認める中村は「そこで自分がクオリティを出せれば、もうちょっと点にも近いプレーができたのかな」と反省を口にした。しかし、前半のうちに2−0とリードしたところから、いかに勝ち切るかというのは磐田のテーマでもある。前半の終盤には柏に点が入ってもおかしくないシーンが何度かあり、GK川島永嗣を中心に何とか耐えて後半を迎えた。

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