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日本代表 3か月前

「まあ、僕は勝てば…」上田綺世は冷静の中にも確かな闘志「1人しか出られないんで」サッカー日本代表エースへの歩み【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

不安視される所属クラブでの現状

「(中国戦は)自分たちが狙いとしていたことを数多く出せた。ただ、自分でもっとチャンスメークして、シュート数を増やさないといけないと思っています」とノーゴールに終わった前回のゲームの後、彼は不完全燃焼感を抱いたことだろう。自身と代わった小川航基(NECナイメンへン)も決定的なヘッドをクロスバーに当てて無得点。南野拓実(モナコ)や三笘、伊東、久保建英(レアル・ソシエダ)と2列目アタッカー陣が次々と結果を残す中、FW陣にゴールがないことが浮き彫りにされがちだった。

 特に上田はブライアン・プリスケ新監督体制へと移行した自身2年目のフェイエノールトでまたもレギュラーをつかめていない。移籍確実と見られたメキシコ人FWサンティアゴ・ヒメネスがまさかの残留。それもあって1トップの牙城を崩しきれておらず、ここまでの試合出場時間も限定的になっている。

 その現状も不安視されがちだったため、本人としても「代表ではしっかり目に見える結果を残さないといけない」という自覚を強めていたに違いない。

 ゴールへの渇望を前面に押し出したバーレーン戦で自らが2点を叩き出し、その後の守田英正(スポルティング・リスボン)の3点目をアシスト。さらに自身が退いた後には小川も5点目を決め、5−0で圧勝したのだから、「今の森保ジャパンはFWがやや物足りない」といったネガティブ評価を覆す形にもなった。

「(FW2人が揃ってゴール?)まあ、僕は勝てばいいと思っていたので。自分の得点はもちろん狙っていましたし、FWはつねにそこを狙っているので」と上田自身は特別な感慨はない様子だったが、最終予選でようやく手にしたゴールにはやはり意味がある。これを今後につなげていくことが肝要である。

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