約8年前から続く日本代表のトラウマ
「後半は相手が[5−3−2]のような形でマッチアップしてきましたけど、それでもやることは変わらなかったというか、さらに2列目の選手が出ていく場面が増えた。相手もかなり消耗していたので、自分たちのサッカーを引き続き、アイディアや形を変えながらも最後まで実践できたと思う」
アジア最終予選の初戦に対しては、日本はちょっとしたトラウマを抱えていた。
ハリルジャパン時代の2016年9月にUAE(アラブ首長国連邦)代表に1−2で、第1次森保ジャパンの2021年9月にはオマーンに0−1でともに敗れていた。しかも3年前にオマーンを率い、周到な準備と対策で日本を攻略したクロアチア出身の名将、ブランコ・イバンコビッチ監督がいまは中国の指揮を執る。
「日本をよく分析している監督ですけど、前回と同じような戦い方で臨んでくるのかといえば、中国の選手のよさを出しながら、セットプレーでもいい準備をしてくる印象をもっている」
帰化選手も加わった中国をリスペクトしながら、それでも遠藤は中国戦後にこう語っている。
「自分たちの力をしっかりと出せれば勝てると、試合前から自信をもっていた。もちろん3年前は負けていたけど、みんながあまりそれを意識しすぎていなかったというか、いつも通りの準備をしていた。そういうリラックスした雰囲気のなかで、緊張感も失わなかったのがよかったと思っている」
迎え撃つ日本も3年前とは違う、という自負を遠藤は抱いていた。3年前のオマーン戦で先発した11人のうち、清水エスパルスのGK権田修一、浦和レッズのDF酒井宏樹、そしてヴィッセル神戸のFW大迫勇也の4人がいわゆる国内組。さらに無所属だったDF長友佑都も、直後にFC東京に加入した。
ひるがえって今回の中国戦の先発メンバーは11人全員がヨーロッパ組。途中出場した5人の選手でも、国内組は代表デビュー戦だったパリ五輪代表の20歳、川崎フロンターレのDF高井幸大だけだった。何よりも3年前に続いて今回も先発した選手が自分だけしかいない状況が、イコール、成長の跡だと遠藤は言う。