「味方のよさを引き出す」前回大会からのマインドの変化
ここからも日本はグイグイと押し続け、久保は右サイドだけでなく、アンカー気味の位置に立った遠藤の脇まで下がってビルドアップのサポートに入ったり、中央で南野拓実(モナコ)と近づきながらお膳立てを見せるなど、縦横無尽にピッチを動き回って違いを作る。
前半終了間際の三笘の2点目のシーンでも、板倉滉(ボルシアMG)のタテパスを巧みに引き出し、右の深いところで起点を作ってから中に絞っていた堂安にパス。そこからのクロスに三笘が飛び込むという理想的な形に仕向けることができた。前半を2−0で折り返した時点で、日本の勝利はほぼ決まったと言っていい状況になったのだ。
だが、そこからも日本は一切、手を緩めなかった。後半開始早々に南野が立て続けに2点を挙げて4−0とリードを広げると、両WBが伊東純也(スタッド・ランス)と前田大然(セルティック)に交代。これまで久保は伊東と右サイドでライバル関係になることが多かったが、この日は見事な共存をしてみせる。
最たるものが77分の5点目だ。久保が右の大外に開き、伊東がインサイドに入る形から生まれたもの。これで久保はこの日2つ目のアシストを記録した。
「例えば伊東選手だったらシンプルにはたくけど、堂安選手とだったらコンビネーションとか、そういうふうに彼らのよさを出すことで、逆に彼らも僕にアシストや得点をもたらしてくれるし、信頼も得ていける。味方のよさを引き出すことが、僕のゴール数アシスト数や結果にもつながってくるのかなと思います」と本人も「フォア・ザ・チーム精神」を前面に押し出したが、そういったマインドはカタールW杯の頃とは明らかに異っている。