事態を悪化させた中国代表の修正
アジアカップでのイラク代表、イラン代表はロングボールを使って日本を苦しめ勝利を収めた。ロングボールからのハイプレスが、有効な日本対策であることをアジアに知らしめている。
ところが、中国は2点を失ってもなお守備を固めた。まずは水漏れを防ぐのが先決と判断したようだ。しかし、これは中国にとって事態を悪化させただけだった。
5−3ブロックの「3」の脇は日本にとって使いたい放題。町田、板倉は攻撃の起点になるだけでなく、より高い位置へ進出。5バックになった中国はサイドへの対応こそ少し早くなったものの、日本はサイドへ釣りだしてハーフスペースを狙い撃ちする。
52分、左の三笘からポケットへ走った南野へパス。南野はカバーに出てきたDFを股抜きでかわし、狭い角度からGKの肩口をループ気味の巧みなシュートで通過させて3−0。
58分、上田がクサビのパスをDFともつれながら上手くボールを逃がし、フリーで抜け出した南野が決めて4−0。南野の連続ゴールで完全に相手の息の根を止めた。
観衆の大声援の中、63分に交代出場した伊東純也が左足で決めて5−0(77分)。久保が右サイドで相手を引きつけてから、1つ内側の伊東へつないだ形だった。
87分には伊東の得意とするアーリークロスからファーポストに詰めた前田大然がヘディングで押し込む。アディショナルタイムにも伊東のクロスから小川航基がヘディングで狙ったが惜しくもバー直撃。しかし、なお波状攻撃から最後は久保が強烈な左足のシュートをゴールネットに突き刺した。
7−0。中国のシュートは1。日本は格の違いを見せつけるプレーぶりで初戦を飾った。試合後、森保監督は「2回練習ができた」と繰り返していて、ほとんど準備ができなかった前回のアジア最終予選初戦との違いを話していた。スケジュールも含め初戦に臨む態勢が改善され、選手たちだけでなくチーム全体が洗練されてきたことは大勝の要因の1つだった。
(文:西部謙司)
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