本心だった「このまま一生、入らないんじゃないか」
当時の久保は、中立地カタールで行われた中国との第2戦でトップ下として先発。ポジションを確立したかに思われた直後に、当時所属していたマジョルカで右膝を痛めて長期離脱を余儀なくされた。
「前回の最終予選ではチャンスをつかんだ後に怪我をして、結局、それを逃す形になりましたけど…」
三笘が台頭し、伊東が「イナズマ純也」なる異名とともにエースを拝命した時期をこう振り返った久保が先発に復帰したのは、埼玉スタジアムで行われた2022年3月のベトナム戦。カタール大会出場を決めてから5日後のアジア最終予選の最終戦で右ウイングを担い、左ウイングの三笘と両翼を形成した。
そして、伊東が右ウイングに投入された後半開始とともにトップ下へ回り、久保に代わって南野拓実が投入される61分までの16分間にわたって、三笘、伊東とともに初めてピッチ上で同じ時間を共有した。
さらに6月のガーナとのキリンカップでは、インサイドハーフとして先発フル出場。伊東が右ウイングで途中出場した69分から、左ウイングの三笘とともに2度目のトリオ共演を果たし、73分にはデビューから3年、出場17試合目にして待望のA代表初ゴールを決めた。アシストしたのは三笘だった。
試合後のフラッシュインタビューで、久保は「長かったですね。このまま一生、入らないんじゃないかと思うときもありました」と笑った。その後の質疑応答で、本心だったと明かしている。
「代表に関しては、本当にそう思っていました。周りの選手がゴールを決めるたびに『自分がそのポジションにいたらよかった』とか、僕のシュートがブロックされるたびに『何でいつも自分だけ』とも。何で試合に出したくれないんだと思う試合もあったし、正直、めちゃくちゃキツかったですね」
カタールW杯でもドイツ、スペイン両代表とのグループステージで前者は4−2−3−1の左ウイング、後者では3−4−2−1のシャドウとして先発。右サイドの伊東と共存を果たすも、とともにハーフタイムでの交代を命じられ、クロアチア代表との決勝トーナメント1回戦では発熱による体調不良で欠場を余儀なくされた。
森保ジャパンが日本中を熱狂させたなかで、不完全燃焼に終わった心境を、久保は「僕の黒歴史」と位置づけたこともある。伊東が献身的で泥臭い守備でも貢献し、スペイン戦の決勝点をアシストした三笘が“三笘の1ミリ”として世界中を騒がせたカタール大会を、この日もこんな言葉とともに振り返った。