守り続けていた首位からの陥落
「展開的にもロングボールが増えて、ずっとウチのペースだったので。セットプレーからのカウンターでなかなか戻りきれない場面でしたけど、結果的に相手のファウルで取り消されて、まだ1点差の状況が続いていたので、ビッグチャンスを自分たちで作れるんじゃないか、と。後半の途中から入ったデューク、一輝、エリキの頑張りに感謝したいですね。晃生もすごくいいボールを蹴ってくれたし、デュークがあそこまで走って最後に競り勝ってくれた。チーム全員でつないだゴールだったと思っています」
鹿島や日本代表で濃密な経験を積んできた昌子が抱いた予感は、現実のものになった。同時に勝てなかった、という試合結果は5月19日から守り続けてきた首位から陥落する代償も伴った。
キックオフ前の時点で、サンフレッチェ広島が勝ち点2ポイント差に肉迫していた。3度のリーグ優勝を誇る広島はFC東京を3−2で振り切り、同一シーズンではクラブ新記録となる破竹の7連勝をマーク。勝ち点55で町田に並び、得失点差で4ポイント上回って第3節以来となる首位に立った。
残り9試合となった今シーズン。再び広島を上回り、連覇を狙うヴィッセル神戸などのライバル勢も振り切って優勝を果たすために、町田には何が求められていくのか。昌子は3度迎えた決定機でいずれもゴールネットを揺らせなかった、パリ五輪代表のFW藤尾翔太の奮起をまず求めた。
「彼もまだ若いし、これからの選手というのはわかっていますけど、得点数を見てもウチで一番取っているし、彼がエースであることに変わりはない。それを周りがどうこう言うのではなく、エースストライカーである以上は、彼自身で解決していくものだと僕は思っている。点を取れないときはいろいろと言われる、本当にシビアなポジションですけど、逆に点を取ればやはりエースストライカーだと、それこそ枕詞みたいについてくる。彼なりにいろいろなことを吸収して、反省して、次はチームを勝たせる点を取ってくれと思います」