「そういうところが上に行けていない理由」
【写真:Getty Images】
これには渡邊も「仕方ないっていう言葉では片づけたくない。ちゃんと浦和として選手で試合に出ている以上、学んでほしい」と厳しい言葉を投げかけた。二田も「余計なことをしてしまった」と深く反省していたが、岩尾や酒井宏樹らベテラン勢がいたら、そこでチームを確実に引き締めていただろう。彼らと共闘してきた安居には遠慮せずに自らアクションも起こしてほしい。そこはあえて注文したいところだ。
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幻のゴールがマイナスに作用したのか、浦和は最後の最後にカウンターからエリキに2点目を浴び、2−2の引き分けでタイムアップの笛。またしても勝てなかった。
「1点取り消し、最後の失点もそうですけど、そういうところが上に行けていない理由。勝っていく集団にならないといけない」と安居は改めて語気を強めた。昨季のスコルジャサッカーを熟知する人間の1人として、彼は今後の浦和を力強く引っ張っていかなければならないはずだ。
「ヘグモさんの時は、相手のプレッシャーを受けて、そこを個人の力なりコンビネーションで剥がすみたいな形でしたけど、今はポイントの間、間を取って、全員で相手のストレスになる位置に立ちながら、ボールを回していく形」と小泉も説明していたが、そのマチェイスタイルを浸透させていくためにも、昨季J1・31試合に出場している安居に託されるものは少なくない。
今後もボランチに渡邊が入り続けるのか、今回出なかったサミュエル・グスタフソンが入るのか、加入が噂される原口元気が加わるのかは未知数だが、中盤が機能しなければ浮上のきっかけをつかめないのは間違いない。
「今日の終盤みたいなミスをなくしていくためにも、最後まで繋ぐなら繋ぐという自分たちのサッカーをやるべき。町田が前へ前へと来ているのなら、裏返して、自分たちのラインを押し上げてっていう柔軟な考えももっと必要なのかなと。それに最後は声の掛け合いももっと重要になってくると思います」と安居本人も自戒を込めて言う。彼ら中堅世代が真のリーダーシップを示せるようにならなければ、今の浦和が強い集団になるのは難しい。
ここから2週間の代表ウイークの間に彼自身、そしてチームがどのような変貌を遂げるのか。町田戦の悔しいドローを今後の糧にしてもらいたいものである。
(取材・文:元川悦子)