安居海渡が吐露した後半の戸惑い
「試合が始まる前に、凌磨君には『自由にやってもらっていいんで、攻撃もガンガン行ってください』『自分がバランスを取るんで気にしないでやってください』と言っていて、いい流れができたと思う」と安居は後方から彼らの良好な関係性を演出した。そうやって自ら中盤をコントロールする意識は、岩尾憲、伊藤敦樹というキーマンが立て続けにチームを去ったことで、より強まったに違いない。
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「そこまで自分が責任を強く感じてはいないですけど、選手が若くなっているのがあるし、自分が中心となってやっていけるくらいのリーダーシップを持っていかないとと思っている」と本人も静かに語ったが、そういった自覚が新体制初戦に出ていたと言っていい。
こうした中、浦和は37分に大久保智明のFKを右サイドの大外から飛び込んできた関根が巧みに蹴り込んで先制。1点リードで前半を折り返すことに成功する。「今日はイケる」というムードも漂い、選手たちも自信を持って後半に突入したはずだった。
しかしながら、首位・町田の黒田剛監督はすぐさま奇策を講じる。基本布陣を4−4−2から3−5−2へシフト。前半は右MFに入っていた荒木駿太を中央に移し、安居・渡邊の両ボランチのところにマンマーク気味につけてきたのだ。
「後半は自分にマークが1人ついてきた状態だったんで、凌磨君と『その選手を挟む感じで、2枚で回してみよう』と話はしたんですけど、ちょっと連係がうまく取れてなくて、相手に合わせる形になり、ロングボールが多めになってしまった」と安居は戸惑いを吐露する。彼のみならず、チーム全体が対応に苦慮していた間にクロスからオ・セフンに同点弾を奪われ、1−1に。そこから町田に次々とストロングを出されるようになり、浦和としては耐え忍ぶ展開を強いられた。
池田監督も長沼洋一、二田理央、松尾佑介、チアゴ・サンタナら持てる駒を次々と投入。巻き返しに打って出る。そしてラスト3分というところで、大畑歩夢の左クロスからチアゴ・サンタナが値千金の2点目を叩き出し、スタジアムが歓喜に湧いた。
アディショナルタイムは7分。浦和は町田のパワープレーやリスタートに苦しみ続けたが、ワンチャンスからのカウンターを松尾が決め切り、ダメ押しとなる3点目を手に入れたと思われた。だが、二田が下田北斗を倒すという不用意なファウルを犯し、無情にも得点が取り消されてしまった。