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Jリーグ 3か月前

どこまで許容するか? ガンバ大阪が作った宇佐美貴史が輝ける仕組みと、ポヤトス監督が吹かせる欧州の風【戦術分析コラム】

シリーズ:戦術分析コラム text by らいかーると photo by Getty Images

非常に難易度が高い。フリーマン的な存在は宇佐美貴史だけではなくなっている

 気がつけばフリーマン的な存在は宇佐美だけではなくなっていた。左右非対称の配置も欧州では徐々に標準になりつつある。均等の形で守りたがる守備の習性を利用するような戦術と言えるだろう。ただし、その複雑さと阿吽の呼吸を求められるところはガンバらしさとも言えるし、非常に難易度が高いとも言える。

 優勝するためには乗り越えなければいけない壁とも言えるが、サイドバックを上げる陣容では相手のカウンターを許してしまうこともやぶさかではない。このあたりの賭けがどちらに転ぶかで、ガンバの最終順位は決まりそうである。

 失点数が減った理由は、ボール保持の安定が大きい。ビルドアップで失点に直結しそうなミスが起こる気配はほとんどない。ボールの失い方の整理ができていることや、鈴木徳真を中心にトランジションの備えを怠っていないことも大きいだろう。

 プレッシングに目を向けると、ガンバのプレッシングには色気がない。ハイプレッシングは基本的に行わないので、キーパーまで追いかけることはほとんどない。相手のセンターバックがボールを離したことをスイッチとする場面が多いが、準備万端で待ち構える形を基本としているし、自分たちのプレッシングで相手の攻撃のスイッチを入れさせることを嫌っているように感じる。

 準備万端で待ち構えるプレッシングで特筆すべきは1列目の守備参加だろう。通常はカウンターに備えて前線で待っていることが多いが、宇佐美を筆頭に突然にプレスバックする。リーダーが献身的なチームはみんなが献身的になるしか道がない。

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