全幅の信頼を置いていた「監督のような存在」
「話をいただいてからは、本当に悩みました。それでもシンプルにいえば、また挑戦がしたかった。22歳のときにドイツに挑戦して、本当に多くの経験ができて、選手だけでなく人間としても幅が広がったと自分のなかでは思っているし、キャリアの終盤でもう一度、そういった挑戦がしたいと考え続けていました。今年で33歳になりますけど、これは本当にラストチャンスだと思いましたし、何て言うのかな、快く送り出してほしい、とお願いしたわけではなく、そういった自分の思いをチームには伝えました」
56歳にして初めてプロチームの指揮を執っている森山監督は、2月のシーズン開幕からダブルボランチの一角で起用してきた長澤へ、仙台の選手たちのなかでも特に全幅の信頼を置いてきた。
千葉に今シーズン最多タイとなる4失点を喫し、2−4で逆転負けを喫した試合後の公式会見。森山監督は「和輝の最後のゲームだったので、勝って最高の形で送り出そうと思っていましたが、残念ながらかないませんでした」と試合結果を悔やみながら、チーム内における長澤の存在感をこう語っている。
「チームのなかでコンダクターというか、ピッチのなかでの監督のような存在として、試合の流れを含めて、いろいろな状況に応じてチームを動かしてくれたのが長澤でした」
指揮官はさらに「いなくなったその穴は大きすぎるし、ここからが大変だな、というところですね」ともつけ加えながら、それでも最後は長澤の思いを尊重した。仙台側から離脱が発表されるまでに森山監督との間でかわされたやり取りを、長澤は感謝の思いを込めながらこう明かしている。