中止直後に沸き起こった拍手の理由
特に川崎はYBCルヴァンカップでプライムラウンド進出を果たしていて、現在のベスト8からベスト4、決勝と勝ち進む場合を想定しなければいけない。さらに8試合を戦うAFCチャンピオンズリーグ(ACL)エリートのリーグステージのうち、実に6試合が12月8日のJリーグ最終節の前にすでに組み込まれている。
現状で残されている日程は、公式戦が入っていない10月最後の週末か、リーグ戦が中断している11月の国際Aマッチデー期間内しかないといっていい。今後も雷雨などの荒天でホームゲームを含めた試合が中止になるような事態が起これば、さらにスケジュールそのものが逼迫しかねない。
川崎戦の中止が決まった直後。騒然としていたスタジアムに、拍手が響きわたっている。ロッカールームから一人だけ姿を表した西川が、浦和、川崎双方のファン・サポーターへ深々と頭を下げた姿を受けたものだった。西川はさらに、メインスタンドへ向けてユニフォームとキーパーグローブを投げ込んでいる。
夏休みで最後となるホームゲームは、チケット購入者が4万人を超えていた。ファンの子どもたちへプレゼントを贈った西川は、最後を<We are REDS>で締めるこんな言葉を自身のXへ投稿している。
<また一緒に戦ってください。今日も素晴らしいサポートに感謝です。31日町田戦リベンジしましょう>
不測の事態が起こってからでは遅い。選手たちや審判団のコンディション、何よりも足を運んでくれたファン・サポーターが、埼玉スタジアムから無事に帰宅するまでの安全を考慮した末に決まった、先述した鹿島と川崎の一戦以来、J1リーグ史上では15年ぶりとなる試合途中での中止だった。
(取材・文:藤江直人)
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