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Jリーグ 4週間前

つい3年前まで社会人。コンサドーレ札幌、児玉潤が貫いたJリーガーへの想い。J1に辿り着くまでの茨の道とは【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

<note>に綴った熱き思い

 

「ノーチャンスで終わらせたら成長はない。別に止められないとも思っていないし、これからの取り組み次第では、あの1本だって止められる可能性はあると自分は思っている。なので、失点の場面はめちゃくちゃ振り返って、あの1本を止めるために、また日々の練習から取り組んでいきたい。あの1点で負けた、というのをすごく重く受け止めなければいけない。キーパーとしてやるべきことがもっともっとある」

 第27節まで終えた今シーズンのJ1リーグで、菅野は25試合でゴールマウスを守り、残り2試合はアカデミー出身の阿波加俊太が先発した。もっとも、これは児玉が加入する前の第3節および4節で、リザーブとしてベンチ入りした試合数は児玉が17と、阿波加の4、中野小次郎の6を大きく引き離している。

 セカンドキーパーとしての立ち位置は確立させたが、もちろん児玉は満足していない。出場機会を得ていた天皇杯が終わったいま、9月には27歳になる遅咲きの苦労人の視線はリーグ戦へと向けられる。

「リーグ戦はなかなか自分が出場する出番がないなかで、それでも本当に毎日の取り組みがすべてだと思いますし、天皇杯は終わってしまいましたけど、これからチームの力になれるように、まずは今日の試合をしっかりと反省して、札幌に帰ってまたしっかりと積み重ねていきたい」

 5月に自身の<note>で発表した、タイトルに「不屈の精神」と打たれた、5000文字を超える長文がサッカーファンの間で大きな反響を呼んだ。児玉はその冒頭で「働きながらサッカーをしている選手や進路で悩んでいる人の、夢を目指すきっかけにでもなればと思います」と綴っている。

 札幌でチームメイトになった瞬間から、憧れの存在であると同時に、たったひとつしない先発の座を争うライバルになった菅野と切磋琢磨を繰り返しながら、敗れた天皇杯でも周囲を魅了する爪痕を刻んだ児玉の一挙手一投足はこれまでも、そしてこれからも<note>に綴った熱き思いをそのまま具現化していく。

(取材・文:藤江直人)

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