「俺が行くわ」ためらいはなかった
品田は「(札幌は)チームとしてマンツーマンというか、“人”への意識が強いので、空けちゃいけないところを空けるシーンが多いなと感じていました。特に押し込まれた時間帯では自分が周りに声をかけました」と言う。
札幌はピッチ全体を広げようとするも、コンパクトかつタフな戦いで挑む千葉がそれを阻み、札幌のプレス時に生まれるスペースを見逃さず、ショートカウンターで押し返すと19分、風間宏矢が右サイドに展開し岡庭愁人がアーリークロスを送る。ペナルティーエリア手前にポジションを取っていた小森がヘディングシュートでゴールマウスを狙ったが、これは相手キーパーのファインセーブに遭った。
25分にはドゥドゥのクロスに岡庭が頭で合わせるも防がれ、続く29分には小森のシュートのこぼれ球をドゥドゥが押し込むがゴールライン手前で札幌ディフェンダーにクリアされてしまう。
好機を作ることで千葉にリズムが生まれる中、スコアを動かしたのはそのホームチームだった。45分、ゴール前約25メートルの位置で得たフリーキックを品田が右足を振り抜く。鋭い弧を描いたボールはゴール右上隅に突き刺さった。
ボールセット時には左利きの佐々木翔悟と並んだが、札幌の壁の位置を確認し「俺が行くわ」と品田が蹴る。これまでの人生の中で何回、何百回、何千回、何万回と体現してきたものだからためらいはない。
「練習でもあのくらいの距離の感触がかなり良かったので、集中して自分の形で蹴ることだけ意識していました」と口にすると、喜びの感情とほっとした思いが混じり合う中で「ゴラッソだったので気持ち良かった」と熱い思いをガッツポーズで示した。