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セリエA 4週間前

「心を動かされた」驚きでしかないコモのビッグプロジェクト。「ディズニーのような組織に…」セスクと歩む覚悟の1年【コラム】

シリーズ:コラム text by 佐藤徳和 photo by Getty Images

無謀に思われた”賭け”

 22/23シーズン、セスクは、セリエBで17試合の出場で、うち先発出場は9試合に留まった。ネットを揺らすことはなく、アシストは2つだけだった。クトローネも、アルベルト・チェッリと並ぶチーム最多得点を挙げたが、9ゴールに終わり、チームは2年連続の13位と昇格は叶わなかった。

 そして、2023年7月、セスクは現役生活に終止符を打ち、コモのプリマベーラを指揮することとなる。さらに、11月、チームは6位につけていたものの、クラブはモレーノ・ロンゴ監督を電撃解任し、セスクを内部昇格させる。UEFAプロライセンスを未取得のため、ウェールズ人のオシアン・ロバーツ監督のアシスタントコーチという肩書で、チームの指揮を執ることになった。監督業をスタートして1年にも満たないセスクの抜擢は、一見無謀にも思われたが、この”賭け”が、功を奏すこととなる。

 第30節のピサ戦から5連勝を飾り、終盤戦を2位で迎える。ラスト2試合は引き分けとなるが、最終節で、3位ベネツィアがスペツィアに1-2と敗れたため、コゼンツァと1-1で引き分けたコモが最終的に2位で終えることに成功。この1年の戦いを象徴するように、ドラマチックに昇格を決めた。

 セスクは選手としては、全盛期のプレーを披露することはできなかったが、指導者として、勝者のメンタリティーをチームに植えつけることに成功した。クトローネは、14ゴールをマーク。このシーズンのセリエB最優秀選手にも選出され、まさに獅子奮迅の活躍を見せた。親戚から”ポケモン”のニックネームを授けられたクトローネは、「昇格は、最も素晴らしい瞬間の一つだった。すぐに兄と母に会い、3人で抱き合って涙がこぼれた。2年前に父が他界し、家族にとっては辛い日々が続いたから」と父の死を乗り越えての昇格であったことを明かしている。

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