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Jリーグ 1か月前

「すごく懐かしい」横浜F・マリノス、ポープ・ウィリアムが辿り着いた恩返しの舞台。GK4番手時代も「思い出が…」【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

横一線の競争に「ポジティブに感じています」

「チームが点を取ってくれなければ勝ちにはならないし、その意味でみんなには感謝している。リードを奪って精神的な余裕をもちながらプレーできるのはまったく違うし、フロンターレが相手というのもあったなかで、リードしながらゲームをコントロールできたのが本当に大きかったと思っている」

 ヴィッセル神戸に1−2で敗れた11日の前節で、マリノスのゴールマウスを託されたのは38歳の大ベテラン、飯倉大樹だった。リザーブには白坂楓馬が名を連ね、7日の北海道コンサドーレ札幌戦で先発し、勝利に貢献していたポープはベンチ外だった。怪我だったのか、と問われたポープは首を横に振る。

「札幌戦は僕、神戸戦は(飯倉)大樹くんでいく、というのはもともと決まっていました。その内容次第で川崎との試合につなげる、という形だったので、今日を迎えられたのはポジティブに感じています」

 5月に決勝が行われたACLで準優勝し、クラブ史上の最高位を更新したマリノスは、対照的にリーグ戦では苦戦を強いられてきた。6月から7月にかけては実に16年ぶりとなる4連敗を喫し、12位に低迷していた7月16日には今シーズンから指揮を執っていたハリー・キューウェル監督を解任した。

 ヘッドコーチから昇格する形で、暫定的に指揮を執っているジョン・ハッチンソン監督は、中断期間に独自の方針を打ち出した。キューウェル前体制下での序列にこだわらずに、横一線で選手たちを競争させる。中断明けの札幌戦と神戸戦で、ポープと飯倉が使い分けられたのも指揮官の方針だった。

 ゴールキーパーだけではない。川崎戦では怪我で長期離脱を強いられていたDF永戸勝也と畠中が、それぞれ10試合ぶりと17試合ぶりに先発へ復帰。累積警告による出場停止だったキャプテン、MF喜田拓也に代わって、この日が21歳の誕生日だったMF山根陸も8試合ぶりに先発に名を連ねた。

「ジョン(・ハッチンソン監督)も常に競争と言っている。出ていない選手は出ている選手にプレッシャーをかけて、出ている選手はポジションを取られないように頑張る、という競争のなかでチームのベースも底があがっていく。怪我人も戻ってきたし、いい意味での競争がいろいろなポジションではじまっていくと思う」

 ポープはハッチンソン体制下において現在進行形で変化を遂げ、川崎戦を終えた時点で暫定6位まで順位をあげているマリノスを、こんな言葉を介して描写した。さらにハイレベルな競争を歓迎しているからこそ、川崎戦の試合終了間際の89分にFWエリソンに返された1点を悔やんでいる。

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