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Jリーグ 1か月前

「すごく懐かしい」横浜F・マリノス、ポープ・ウィリアムが辿り着いた恩返しの舞台。GK4番手時代も「思い出が…」【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

仲間たちへの感謝「結果的にそうなった」

 ポープの恩返しの舞台でもある一戦は、時間の経過とともに古巣の川崎に主導権を握られる。FWアンデルソン・ロペスがPKを決めて先制する58分まで、9度も決定機を作られた。FW家長昭博のシュートが右ゴールポストを、FW山田新のそれがクロスバーを叩いた場面もあったなかで、最大のピンチは32分だった。

 司令塔・大島僚太のパスに反応し、右サイドを縦へ抜け出したDFファンウェルメスケルケン際がグラウンダーのクロスを送る。ペナルティーエリア内でマリノスの両センターバック、エドゥアルドと畠中槙之輔の体をかすめたボールは、マリノスゴール前へ詰めてきた家長の目の前に転がってきた。

 慌てて体を反転させた畠中が懸命に右足を伸ばし、必死のブロックを試みる。しかし、至近距離から放たれた家長のシュートは畠中の右足の下を通過し、ゴールの枠を完全にとらえた。万事休すかと思われた次の瞬間、ボールはポープがとっさに繰り出した右足の太ももに当たり、左コーナーキックへ変わった。

「この暑さもあるし、どうしても相手に押し込まれる時間が長くなるとわかっていたなかで、センターバックの2人と『ここはオレたちで踏ん張ろう』と常に声をかけあっていた。無失点のまま後半を迎えられたのは大きかったし、さらに後半に入る前にはみんなと『奪ったボールを簡単にロストしたら、どうしても難しくなる』といったところも話し合った。そこが改善されたというか、みんながより意識を高めてくれた分、ボールを奪った後の展開で少しゲーム運びに余裕が出てきたのかな、と思っている」

 修正を加えながらも耐え続けた結果が、白星を手繰り寄せたと振り返ったポープに「川崎を相手に、自身の存在価値を証明できた、という思いはあるのでしょうか」といった質問も飛んだ。

 古巣からもぎ取った勝利の意味を問われたポープは、前半に何度もみせた自身のファインセーブに「結果的にそう(勝利)なった、という感じですね」と謙遜した。そのうえで先制点のわずか2分後の60分にMF西村拓真、79分には畠中がゴールし、リードを3点に広げてくれた仲間たちに感謝している。

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