18位:ブレントフォード
【写真:Getty Images】
監督:トーマス・フランク(6年目)
23/24リーグ戦成績:10勝9分19敗(16位)
18位には、トーマス・フランク監督の下でプレミアリーグに定着したブレントフォードを予想した。
ブレントフォードを昇格組以外では唯一の降格候補に挙げた理由は、クラブのサイクルが終わりつつあるから。このチームはイングランドやフランスの下部リーグにいる才能を発掘して、自チームで成長させ、その売却益で持続可能な経営を続けてきた。オリー・ワトキンスやエズリ・コンサ(以上・現アストン・ヴィラ)、ダビド・ラヤ(現アーセナル)、サイード・ベンラーマ(現リヨン)らがその代表例だ。
ところが、直近の2年で獲得してきた選手たちが他クラブから注目されるほどのインパクトを残すことができていない。それはすなわち、ブレントフォードの絶対的な主力になりきれていないことと同義で、ケイン・ルイス=ポッターやミッケル・ダムスゴーアにはブレイクが待ち望まれる。
ブレントフォードのような「育成クラブ」の立ち位置のクラブは、選手を「買う→育てる→売る→買う」という代謝が重要だ。ところが近年のブレントフォードは選手の売却に大苦戦している。2022/23シーズンは360万ユーロ(約5.7億円)、2023/24シーズンは1000万ユーロ(約16億円)しか選手の売却によって利益を上げることができていない。今夏にラヤをアーセナルに3200万ユーロ(約51.2億円)の移籍金で売却したが、これも市場価値を下回る金額であり、思うような形で選手を売れていない。
それは今夏も同様だ。契約が残り1年となり、自身も退団希望を表明しているエースのアイヴァン・トニーの移籍先が決まらない。そして彼の代わりにクラブレコードの移籍金で獲得したブラジル人FWイゴール・チアゴが今季のプレシーズンマッチで全治半年の大怪我を負った。昨季のチーム得点王であるヨアン・ウィサに対しては、今夏に主力が引き抜かれたウォルバーハンプトンに狙われており、前線の選手で計算できる選手が少ないのも気になるところだ。
先述したように、近年のブレントフォードは代謝の悪さが気になり、一昨季のレスターと酷似している点も多い。とはいえ、怪我人続出の中でもチームを残留に導いたトーマス・フランク監督の手腕は確かなものがあり、今夏の移籍市場では新戦力にファビオ・カルバーリョを加えることに成功。今季も昨季に続いて残留が現実的な目標となるだろう。