勝利の影に潜む「危うさ」
パーティのスタッツの中で、「ボールロスト数」に注目したい。彼はこの試合において6回のボールロストを記録しているが、これはライスと同じ数であり、優れたパフォーマンスを披露したウーデゴールよりも少ない数字。パス精度も十分であり、機械採点ではこのような記録に基づいて高い評価を得ている。
しかしながら、この機械採点は試合を観た人にとっては納得のいかないものではないだろうか。
確かにボールロストの数だけに着目すれば注文が付けられるパフォーマンスではないが、パーティのボールロストは場所もタイミングも悪すぎた。同じボールロストとして一括りにデータ上記録されるが、ライスやウーデゴールと比較すると、そのボールロストで生まれる危険があまりに大きい。なぜなら、アンカーである彼の位置でボールを奪われてしまうと、チームは失点につながりかねない致命的なピンチを迎えることになるからだ。
前半はアーセナルのボールポゼッションが64%を記録したことからも分かる通り、波状攻撃で押し込む展開が続いた。パーティ自身も前半の間は動きも良く、彼らしいプレーで狭いエリアを攻略し素早い攻撃に繋がる場面が何度かあった。
しかし、試合時間が進むにつれ、パーティの安定感は急激に低下していくことになる。後半にウルブスが集中したプレスで攻勢を強めるようになると、状況は一変。ホームチームは早々に自慢の守備で耐えることを選択し、主導権を奪い合う展開に変わった。この時間帯でパーティはミスを連発し、アーセナルは何度も相手にゴールに迫られることになっている。
リーグ優勝を目指して長いシーズンを戦っていく上で、この試合のパーティのパフォーマンスは大きな懸念材料である。開幕戦は勝利という結果さえあげられれば十分だが、その勝利の裏に今後肥大化するかもしれない「危うさ」を感じた。