「それは見ている人にしてみたら楽しくない」
【写真:Getty Images】
ご存じの通り、彼は浦和のアカデミー出身。インゴルシュタット、シント=トロイデンを経て2019年夏に復帰してから5年が経過している。「下部組織の生え抜きのタカならやってくれる」という周囲の期待が大きかった分、本人も重圧を感じ、空回りするというケースが続いていたようだ。
「アカデミー出身とか海外経験があるとか、そういうのを意識しすぎると、自分のよさがどんどんなくなってしまう。それは、ここ何年かキャプテン、副キャプテンの立ち位置をやらせてもらって感じていること。やっぱり自分自身が『こうなりたい』と考える選手になっていかないと、発言にも重さがなくなる。
今回の鹿島戦にしても、『守備を頑張った』『失点しなかった』と言われるかもしれないけど、それは見ている人にしてみたら楽しくない。やっぱり自分はもっと推進力を持って前に出て、チームを勝たせられる選手にならないといけないんです」
関根はこう語気を強めた。確かに若い頃の彼はタッチライン際をドリブルで疾走するような場面が多かった。が、近年はインサイドハーフやSB含めて複数ポジションをこなせるユーティリティ性が印象的で、局面打開力や突破力があまり出ていないようにも見受けられる。
そのジレンマに寄り添ってくれたのが、6月のオフ期間に浦和のトレーニングに参加した原口元気だという。原口も欧州に赴いてからの足掛け10年間でセンターバック(CB)以外のあらゆる仕事を託され、突破型からバランス重視のプレーヤーにイメージが変わっていった。だからこそ、関根の胸中がよく分かるのだろう。