5位:アストン・ヴィラ
【写真:Getty Images】
監督:ウナイ・エメリ(3年目)
23/24リーグ戦成績:20勝8分10敗(4位)
クラブ創設150周年を迎え、1982/83シーズン以来のUEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場を果たすアストン・ヴィラにとって今シーズンはメモリアルな1年になる。
今夏のアストン・ヴィラの移籍市場での主なテーマは「若返り」と「選手層を厚くする」の2点だ。昨季プレミアリーグで5番目に平均年齢が高かったウナイ・エメリのチームは現在が全盛期の選手が多く、スムーズな世代交代に向けて若手選手を多く獲得した。
シェフィールド・ユナイテッドの降格に伴い、自動的に買い戻しオプションが発動したキャメロン・アーチャーの獲得は意図したものではないが、クラブレコードで獲得したアマドゥ・オナナやイアン・マートセン、ジェイデン・フィロジン(買い戻し条項を発動)、エンソ・バレネチェア、コスタ・ネデリコビッチ(今冬に獲得も合流は今夏)ら才能のある若手選手の補強に成功したと同時に、選手層にも厚みをもたらした。
唯一のベテラン勢の獲得となったロス・バークリーは、2019/20シーズンのプレミアリーグ昇格以降、最も多くの試合に出場してきたドウグラス・ルイスがユベントスに移籍したことに伴う補強だ。レギュラーはユーリ・ティーレマンスになるだろうが、経験と才能を併せ持つ即戦力の獲得で戦力ダウンを最低限に留まらせている。
そして何よりも大きいのが、実質的な補強となる長期離脱組の復帰だ。昨シーズン開幕前に負傷していたエミ・ブエンディアと大半を欠場したジェイコブ・ラムジーは開幕から出場できるコンディションにあり、守備の要であるタイロン・ミングスも9月には復帰予定。ダブルボランチの一角であるブバカル・カマラも順調にリハビリが進めば年内の復帰が見込まれる。
このチームにおける最重要カードはウナイ・エメリ監督で、ヨーロッパでの経験はもちろん、リーグ戦でも安定的な成績を残している。通年を指揮(途中就任や解任を除く)したシーズンでは、アルメリアがスペイン1部に昇格した初年度の8位が彼の監督キャリアでのワースト順位だ。昨季のUEFAヨーロッパ・カンファレンスリーグ(ECL)では大幅なターンオーバーを行わずともリーグ戦との両立ができており、試合数が増えることによる負荷は大きくなるだろうが、CL出場によるリーグ戦への影響はそこまで受けないだろう。
それでも5位と順位を下げたのは、シンプルに他に強いチームが4つあるのと、68ポイントでの4位フィニッシュが近年ではやや低めの基準だったからである。とはいえ、怪我人に苦しんだシーズンでの4位フィニッシュだったことを踏まえると、選手層が厚くなった分、昨季以上に勝ち点を稼ぐことになるかもしれない。