7位:マンチェスター・ユナイテッド
【写真:Getty Images】
監督:エリック・テン・ハフ(3年目)
23/24リーグ戦成績:18勝6分14敗(8位)
昨季マンチェスター・ユナイテッドは、プレミアリーグ発足以降でワーストとなる8位でのフィニッシュとなった。他にも公式戦での失点数がクラブワーストを更新するなど、いくつかの不名誉な記録を塗り替えてしまったが、それでも最後はFAカップを制覇。2024/25シーズンに向けてはポジティブな形でシーズンを終えている。
一時はエリック・テン・ハフ監督の去就も危うい状況にあったが、ジム・ラトクリフ共同オーナーら経営陣はオランダ人指揮官の続投を決断。テン・ハフ監督をサポートするべく、彼のアヤックス時代の教え子であるオランダ代表DFマタイス・デ・リフトやモロッコ代表DFノゼア・マズラウィを筆頭に、オランダ代表FWヨシュア・ジルクゼー、U-21フランス代表DFレニー・ヨロら足りないポジションに即戦力を加えた。
昨季のマンチェスター・ユナイテッドの低迷に繋がったのが「怪我人」の多さだ。特に最終ラインは壊滅的で、リサンドロ・マルティネスやラファエル・ヴァラン、ルーク・ショーらが長期離脱を余儀なくされたことで、テン・ハフ監督の戦術にフィットしていていないと考えられていたハリー・マグワイアが最終ラインの中心となる機会が多かった。
今夏に最終ラインの選手層を厚くしたのは「怪我人防止」の対策としては重要なことだが、マズラウィとデ・リフトの両名が近年怪我に悩まされてきたことは不安材料である。前者は筋肉系、後者は膝に問題を抱えており、プレミアリーグより日程的に余裕がある上にフィジカル的な負担が少ないブンデスリーガで怪我に悩まされた2人が通年稼働する可能性は未知数だろう。
すでに左SBのレギュラー格であるルーク・ショーが怪我のために開幕戦から数試合の欠場が決定的となっており、新加入のヨロも約3ヶ月の離脱、ハリー・マグワイアやビクトル・リンデロフもプレシーズンで軽傷を負っており、開幕からいきなり固定のメンバーに負担がかかる可能性がある。
誰かが怪我をすると、特定の選手へと負担がかかり、ドミノ式で怪我が連鎖するケースが多い。昨季のマンチェスター・ユナイテッドがその代表例だが、この問題が解決できたとは言い難い。何より怪我の管理については、メディカル班はもちろん、テン・ハフにも問題があるとされており、昨季のプレシーズンで負荷を掛け過ぎた結果がシーズン8位という成績だった。
戦力的な底上げには間違いなく成功しているが、それとベストメンバーが揃うかどうかは別の話だ。開幕からすでに怪我人の問題が出ていることを踏まえると、昨季同様に苦しむ可能性もあるだろう。そのため大型補強に反して7位というやや低い順位と予想した。