「それに気付いているから」飯倉大樹が感じ取るチームの温度
失点の原因となった加藤聖の緩慢な守備だけでなく、気持ちを折られてしまったかのように下を向く選手たちを激しく鼓舞する。手を叩き、声を張り上げた。
それはチーム最年長選手が果たすべき責務だったのかもしれない。
「今日は自分たちのサッカーができていない中でどうにか先制した。でも後半に入ってから、チーム全体に緩いプレーが見えてきていた。それに気付いているからもっと先に言わなければいけない部分もあるけど、『誰が』とかではなくチームとして軽い失点だった。だからチームを鼓舞した。
経験の少ない選手が多い中で、神戸のように少ないチャンスを決めてくるようなチームと対戦する中で、いま誰かが言わなければいけない。試合中でも気づかせなければいけないという意味で、もう一回やろうぜということを伝えた」
チームは過渡期を迎えているのだろう。2022年に通算5度目のリーグ優勝を飾り、昨季も2位と優勝争いを演じた。しかしながら今季はここまで暫定ながら9位にとどまり、首位との勝ち点差は15。王座奪還は厳しいと言わざるをえない。AFCチャンピオンズリーグタイトルも掴み取れなかった。
プロ20年目のベテランGKはおごることなく地に足をつけている。冷静に、客観的に、自分たちが置かれている立場を理解している。