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Jリーグ 1か月前

京都サンガは何が変わったのか? 相手を混乱に陥れるプレッシングの制度設計と機能不全を解決した方法は…【戦術分析コラム】

シリーズ:戦術分析コラム text by Nobuya Akazawa|J1全部見るマン photo by Getty Images

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 18位で降格圏に沈む京都サンガF.C.だが、6月下旬から4勝2分と調子を上げている。曺貴裁監督の下で根付いたスタイルとその制度設計を前後編に分けて解き明かすとともに、6月下旬以降に調子を上げた要因と変化を戦術的な視点から分析する。(文:Nobuya Akazawa | J1全部見るマン)

リスク管理と迎撃場所の変更

京都サンガ
【写真:Getty Images】

 では何が変わったのか。プレスの足並みを揃えることへの意識が大きく変わった印象だ。プレスの繋がりを意識するようになったので、単騎でプレスに出ることが少なくなっていく。

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 これによってスペースを明け渡してしまう回数は激減した。またプレスの方向付けも調整している。WGが外側を切りながらプレスを行う形が基本だったのだが、WGが大外の選手を気にすることが多くなっている。WGがCBを外から覗く(牽制する)のではなく、大外の選手とスペースを管理するようになっている。

 これによってプレスの形も変わっていく。4-3-3の状態でプレスを行うことが多かったのだが、IHが前に出て4-4-2でプレスをかけることも多くなった印象だ。これにより、追い込む場所も外側になり、SBでの迎撃が基本形になる。結果的に、DFラインが晒されることも急激に少なくなった。

 これらの変化は21節の湘南ベルマーレ戦で実を結ぶ。この試合からプレスの口火役とプレスのスイッチが明確になったので、連動性が生まれた。さらに追い込む場所の微調整も行なったことによって、プレスを回避されてしまったときのリスクも管理できるようになった。迎撃場所を中央からサイドに移したことで、たとえプレスを回避されたとしてもその傷は最小で済むようになった。だからこそ、一気に守備が安定してプレスの迫力を取り戻すことができているのだろう。

 しかし、課題は残る。3バックの相手と対戦したとき、3CBに対して3トップを当てに行ってしまうので、中央誘導のプレスになることがほとんど。だからハイリスク・ハイリターンのプレッシングになってしまうことがしばしばある。3CBに対してどのようにプレスをかけていくのか、はたまたある程度放置した状態から守備を始めるのか。このあたりの線引きと再調整は必要になってくるのではないだろうか。

 では次は本来の攻撃設計と苦しんでいる理由、そして現在地について考えていこう。

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