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Jリーグ 1か月前

「真似する」川崎フロンターレ、高井幸大はスペインに大きな刺激を受けた。「『上手だな』と思いながら…」【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

「一番大事なところ」謙遜の裏には確かな信念

「たくさんお客さんが入ったなかで、無失点で終われたところと、1点を取れたところがよかったです」


 25分に訪れた、あわや失点のピンチを防いだのも高井だった。MF仲川輝人の突破を食い止めたDF佐々木旭が、こぼれ球を収めた直後だった。プレスをかけてきたMF小泉慶をかわそうと、佐々木がヒールでMF大島僚太へつなごうとしたパスを小泉がとっさにカット。はね返ったボールが仲川にわたった。

 佐々木のやや軽率なボールロストから得たチャンス。FC東京がすかさずショートカウンターを発動させ、仲川からFWディエゴ・オリヴェイラにスルーパスが通った。J1通算で90ゴールを決めているブラジル人ストライカーがペナルティーエリア内へ侵入し、シュートを放つ体勢に入った直後だった。

 白色の川崎のユニフォームを着た選手が、瞬く間にオリヴェイラとの距離を詰めてくる。佐々木がボールを失った時点で危機を察知し、カバーに走ってきたのは高井だった。最後は乾坤一擲のスライディングを仕掛けてオリヴェイラのシュートを右足でブロックし、ボールをゴールラインの外へ弾き飛ばした。

「最後に体を張るところは、ディフェンダーにとって一番大事なところだと思っているので、あそこで足を出せてよかったなと思います。まあ、たまたま間に合った、という感じですかね」

 ここでも謙遜した高井だったが、山田のJ1リーグ史上で9人目となる、3試合連続のマルチゴールで2点のリードを奪った5分後という状況を考えても、ファウルなしで失点を防いだプレーの価値は大きい。それでも、前半はピンチを招いた試合展開に、高井は自戒の念を込めながらこう語っている。

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