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Jリーグ 1か月前

ガンバ大阪の堅守を支える“苦労人”の声がけ。GK一森純が名手から受け継いだもの「まだ甘いんですけど…」【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

キャリアの転機となった横浜F・マリノス移籍

ガンバ大阪のGK一森純
【写真:Getty Images】

 セレッソ大阪U-15・U-18時代は扇原貴宏(ヴィッセル神戸)や永井龍(ギラヴァンツ北九州)と同期だった一森。トップ昇格は叶わず、関西学院大学に進み、2014年に当時JFLだったレノファ山口入りし、サッカー選手としての第一歩を踏み出した。だが、この年はスポーツ用品店やサッカースクールで働きながらピッチに立っていたという。


 2015年のJ3昇格に伴い、サッカー1本になり、2016年からはJ2に参戦。そこでの働きが評価され、2017年にファジアーノ岡山へ移籍。3年後の2020年にはガンバ大阪に引き抜かれ、ようやく最高峰リーグまで辿り着いたが、名門クラブでは東口順昭らの存在があり、全くと言っていいほど出番を得られなかった。

 そんな一森にとって、キャリアの重要な転機となったのが、昨年の横浜F・マリノスへのレンタル移籍だ。マリノスで優勝争いに参戦し、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)も経験することで、大いに自信をつけることができたのだ。

「マリノスで得たもの? 全てにおいてですね。メンタリティの部分だったり、技術的な部分、チームのフィロソフィーはマリノスのGKコーチだった松永成立さんからしっかりと学んで成長させてもらいました。それをムダにしないように、ガンバに帰ってきても怠慢にならないように、本当に一瞬一瞬を大事に生きて、プレーしようと思っています。

 シゲさんかが一番言っていたこと? メンタルです。GKとして何が大切なのかという部分をしっかりと教えていただきましたね」

 本人もしみじみ語っていたが、かつて日本代表のゴールマウスを守り、森保一監督とともにドーハの悲劇を経験した名GKの持てる全てを伝授されたことで、一森は一回りも二回りも飛躍したのである。

 下積みの長かったタフな男が最後尾から声を出し、激しく鼓舞してくれることで、中谷や宇佐美といったフィールドの選手たちは大きな力をもらえているはずだ。あとはチームとして点を取って勝利することを追い求めるしかない。

「後ろが守り切ってくれるからこそ、前の選手が点に取ってチームに数字をつけていってあげないといけない。僕自身がもっとやらないといけない」と宇佐美も自らを奮い立たせていた。

 ここから8月はヴィッセル神戸、アビスパ福岡、セレッソと難敵が続くが、ガンバとしては最少失点を維持しつつ、勝ち切る術を見出していくしかない。一森はゴール前の番人としてとにかく相手のチャンスを封じ続け、守備陣を動かし続けることが肝要だ。

 ここからの背番号22の奮闘ぶりを注視していきたいものである。

(取材・文:元川悦子)

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