主審は「無言を貫いていましたけど」
「人に向かってバーンと強く蹴ったら、それは退場だと僕も思います。ただ、トゥーレル本人はそういう意図で蹴っていないと言っているし、僕自身も普通にインサイドで蹴ったのを、副審がまたいだのを映像で確認しました。あの程度の強度のパスならば、たとえ悪意があったとしてもイエローカードかな、と。それがなぜ退場になるのかがわからないし、僕自身も判定にはまったく納得していませんけど、トゥーレル本人は『僕が外国人選手だからそう思われるのか』とも言っている。そこは理解してほしいと審判には伝えました」
吉田監督やコーチ陣だけでなく、試合後には武藤もピッチ上の審判団のもとへ近づいている。
「飯野の退場に関しては正直、しょうがない。映像を見直しても(相手に)当たっていなかったですし、ジャッジ的にもしょうがないと思いますけど、2つ目ですよね。あれはありえないですし、誰がどう見てもあれが一発退場になるシチュエーションでもない。本当にフラストレーションがたまる試合でした」
こう切り出した武藤は、トゥーレルに一発退場を命じた意図を笠原主審に問いただした。しかし、試合中にゲームキャプテンの山川に説明していたからか。笠原主審を含めた審判団の反応を「無言を貫いていましたけど」と明かした武藤は、やり場のない怒りを言葉に込めながらこう続けている。
「川崎の選手たちからも『何でレッドカードになったの』と聞かれました。スタッフ陣も含めて対戦チームもびっくりするほど、本当に疑問符がつく退場だった。しかも、退場になったからには、最低でも次の試合はいないわけですよね。チームと選手の未来も関わってくるからこそ、しっかりとジャッジしてほしい気持ちがあった。審判にもミスはあると思いますけど、それでも理解できなかったので一応、聞きにいきました」
トゥーレルが退場したのは、10人の状況からカウンターか、あるいはセットプレーで得点をあげようと、扇原に代えてMF鍬先祐弥、MF佐々木大樹に代えてFWジェアン・パトリッキを投入した直後だった。