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日本代表 1か月前

「ボコっと前に…」平河悠はトップのドリブラーになれる身体つき。藤田譲瑠チマとも共通する沈むバネによる「動きの効率性」

シリーズ:コラム text by 水野裕介 photo by Getty Images

藤田譲瑠チマの動きを可能にする「バネ」

藤田譲瑠チマ
【写真:Getty Images】

「藤田選手はパスを受けるときに、上半身の姿勢を保持しながら下半身を柔らかく使っていて、沈んでから浮き上がる間に身体の向きやステップを変えることができるため、相手をかわす動きがスムーズで多彩です。日本でプレーしている選手だと川崎フロンターレの大島僚太選手なんかも抜群にうまいですよね」


 沈む動きは守備の球際でも活かされている。「相手とのコンタクトの場面で、グンっと沈むことで、身体の重さをしっかり相手に当てることができます。また、重心を落とした際にしっかりと身体が沈んでいると、股関節の動きの自由度が高くなるため、相手とコンタクトせずに脚を伸ばしてツンっとボールをつついて奪う、といったプレーも可能になります。このような沈む動作は、ボール奪取後に体勢を崩すことなく、スムーズに次のプレーに移行することも可能にしています」

 さらに、沈むバネの動作には、一見関係がなさそうな持久力という副産物がある。パリ五輪アジア予選となったAFC U-23アジアカップで、藤田は9日間の間に決勝トーナメント3試合にフル出場。一方の平河は今夏までプレーしたFC町田ゼルビアで、リーグ戦で先発した17試合すべてで85分以上プレーしている。

「沈むバネの質が高い選手は、サッカーの試合で特に身体への負担が強いと言われる加速や減速、方向転換などの動きの効率性が良いため、疲労は溜まりづらくなります。それが結果的に継続的な高強度の動きを可能にしています」

 沈むバネを使ってパスを受けたあと、藤田は強いインサイドキックで味方にパスを届けることができる。その理由を「簡単に言うとやっぱり姿勢が良い」と言う通り、上半身の姿勢の良さは重要なポイントのようだ。前編で分析した伊東純也との違いについて三浦氏が解説してくれた。

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