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日本代表 1か月前

「ボコっと前に…」平河悠はトップのドリブラーになれる身体つき。藤田譲瑠チマとも共通する沈むバネによる「動きの効率性」

シリーズ:コラム text by 水野裕介 photo by Getty Images

なぜ平河悠の初速は速いのか?

 背骨のS字カーブとコア・ユニットの発達は「強さ」だけでなく「速さ」にも活かされている。


「平河選手の5〜10mのスプリントの初速がかなり速いと思います。スピードを上げるためには骨盤と下半身の連動性が重要ですが、それに必要な上半身の良い姿勢を平河選手はドリブル中でも維持できるため、最初の1、2歩で相手を抜き去ることができます。かわした後も“最短距離を最速で進む”イメージで、必要に応じてピッチを上げて歩幅を調節しつつ、スピードを落とさずにボールまで到達できる速さもあります」

 三浦氏が言うように、相手をかわした後にぐっと前に入り込み相手を抜き去るドリブルもあれば、抜き切らずにクロスやシュートまで持っていく場面も見られる平河だが、そこには身体つきだけでなく、トップレベルのドリブラーに共通する“ある動作”があるという。

「仕掛けるタイミングで重心を落とす際に、身体をぐっと沈み込こませる動きが入ります。この“沈むバネ”の質の高さが、仕掛けてからスムーズで速い加速を可能にしています」

 沈むバネとは「上半身の重さを骨盤に乗せて重心を落とすことで生まれるバネ」のことで、サッカーでは減速や加速、方向転換で出現する動きになる。バネを強くするためには地面に大きな力を加える必要があるが、ここでも上半身の姿勢を保持することが重要なのだ。

 シザース、キックフェイント、反発ステップ、カットイン、チョップ、アウトでのターンなど、ドリブルのバリエーションが多い理由も仕掛けるタイミングでの“沈むバネ”の質が高いからこそである。

 沈むバネを平河とは違うプレーで活かしている選手が藤田譲瑠チマだ。パスを受けて相手をかわし味方にパスを出す。この一連の動作において藤田は沈むバネをうまく使っている。

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