「このレベルでは普通の話」何を変えないといけないのか?
11分、自陣で山本理仁が縦パスをつけたが、相手に寄せられた三戸舜介のトラップが大きくなり、バリオス・パブロがフェルミン・ロペスにつなぐ。ゴールまでは20m以上あったが、フェルミン・ロペスは完全にフリーだった。
「スペースを空けたら簡単に点を取られるというのは、おそらくこのレベルでは普通の話。もっと自分だったり理仁が詰めなければいけない場面だった」
藤田はこの場面をそう振り返っている。スーパーゴールで片づけているうちはメダルは見えてこない。金メダルを目指すというのは、そういう目線でプレーすることなのだと、藤田の言葉は教えてくれる。
戦術的な切り口で敗因を取り上げることもできるし、日本サッカーという大きな主語で語ることもできるだろう。斉藤が言うように、知識や価値観を変えていく必要もあるだろう。大切なのは主語が誰なのか。選手を主語にして言えば、「日常のレベルを上げていく」ことが唯一の方法になる。
センターバックの高井幸大は川崎フロンターレ一筋で、ジュニア時代に世界大会を経験している。このチームでは最年少の19歳で、この年代のトップランナーとも言える。その高井にとって、パリ五輪は自身の物差しが世界基準に変わるきっかけになったかもしれない。